本当に能ある鷹は爪を隠すはずだから
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- OSASK-IRCのある人がIRCを抜けるときに、「この世界には秘密がある。」という謎めいたメッセージを残してくれている。これはおもしろい。これを見てかつて自分が考えていて秘密にしていたことがあるのでちょっと書いてみようと思う。
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- なんでもいいんだけど、たとえばAさんは超能力者で、どんな病気も手をかざすだけでたちどころに治せるとしよう。そして自分にこの能力があると気づいたときに、十分な分別があったと仮定しよう。・・・というか、自分がAさんだったらどうするか考えてみてほしい。
- 単純に考えれば、この能力は極めて役立つし、うまく使えば一生食っていけそうな気がする。たとえば新興宗教の教祖にでもなって、信者の病気を治せば感謝されるだろうし、寄付も絶えないだろう。
- しかしこれはおろかなやり方だと当時の僕は考えた。いや今の僕だってこれはおろかなやり方だと思う。だって、そんな目立つことをしたら、みんなAさんが何か特別だと気づいてしまう。そうなれば、たとえばマフィアがAさんをさらって、みすぼらしい独房に閉じ込めるかもしれない。そして病気の政府高官関係者を連れてきては、「おいおまえ、こいつを治療しないとぶっ殺すぞ」と毎日脅され、暴力団は政府関係者から超高額な報酬を受ける、なんてことになるかもしれない。
- あるいは、どこかの研究所の人たちにさらわれてAさん自身が研究対象になってしまうかもしれない。Aさんの人権はどうなってしまうのか!なんて言ってみても、この研究のおかげでAさんの能力が誰にでも広く応用できるんですよ、そのためにAさんには申し訳ないけど自由を束縛させてもらいます、なんてことになるかもしれない。
- 他にも例はいくらでも考えられる。要するに、とにかくAさんは自分に特別な能力があることを知られてはいけないのだ。もしAさんがバカだったら自分の能力をひけらかすかもしれないけど、Aさんに普通以上の分別があればそんなことはしないと思う。
- しかしだからといって、Aさんが自分の能力を活用できないわけじゃない。わからないようにやればいいのだ。自分の最愛の人が重い病気にかかったときに、お見舞いのついでにその能力を使うことはできる。そしてお医者さんが「なぜ治ったのか分からない、奇跡だ」なんていうかもしれないけど、その程度でその場を切り抜けられる。
- そんなささやかにしか能力を発揮できないのがいやなら、こんな方法もある。Aさんがまじめに勉強して医学部に進み、とにかく開業医になるのである。これは多分相当苦労する。医学部に行くのがあまりに難しければ、鍼灸師とかでもいい。そして基本的には自分の秘密の能力を使わずに治療する。しかしたまに(月に1回くらい?)自分の能力を使って治す(もちろん難病の人を)。要するに森の中に木を植えてもばれないというわけだ。治療成功率が優秀な医師の範囲におさまっていれば、そして日本で1位とか2位とかの名医にならないように努力すれば、秘密は隠し通せるだろう。
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- 他にもたとえば、競馬でどの馬が勝つか事前に分かる人がいたとする。そういう公式があるとかいううさんくさい本が世間にはあるらしいけど、本当にそんな公式が存在し、Bさんはそれを知っているとしよう。さてBさんはどうするべきだろうか。それを活用してあっという間に大金持ちになるべきか?もしくはその公式を本に書いてベストセラーになるのがいいのか。
- いやいや、やっぱりどちらも違うだろう。まず本を書いたら全然ダメだ。みんなまねする。まねしたら倍率が下がって自分の配当金が減るじゃないか。そんなことはするべきじゃない。本を1冊1万円で自費出版して100万部売ったとしても、それは100億円の売り上げでしかない。それなら自分でこっそりと競馬に賭けて年に2億円ずつ稼ぐほうがいい。そうすれば50年で本を書くより儲かることになる。
- いくら当たり馬が分かるとはいっても、やはり勝ち続けるのは良くない。たまには負けるべきだろう。しかも万馬券とかをとっちゃいけない。それは目立つ。有名人になるとか歴史に名前を残したいのなら万馬券だけ狙えばいいかもしれないけど、目立ってしまって、Bさんが毎年安定して多額の利益を上げていることがマフィアなどの人に気づかれたら、やっぱりさらわれてしまう。
- さらわれるのがいやで、たくさん儲けてボディーガードを雇うことや保安設備をつけまくることだってできるだろうけど、競馬で勝った場合、負けた人のお金を受け取っていることになるので、負けた人の恨みを買うかもしれない。そんな逆恨みにあえば、Bさんをさらうのではなく、殺そうとたくらむかもしれない。そして殺そうと狙われたら守るのはもっと難しくなる。
- だからやっぱり平和に暮らすのがいいのだ。ただの競馬好きであればいい。競馬の雑誌をたくさん買い、「この馬が好きだから買った」「○○だからこの馬が勝つ」みたいな適当な理由をでっち上げ、もし人に聞かれたらそれを答えればいいのだ。そして裏で勝ち負けを繰り返しつつもそれなりに利益が出て、しかも普通に見えるように調節すればいいのだ。
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- まあそんなわけで、僕の考えるところによれば、本当にすさまじい能力を持っている人は、つとめてそれを隠し、普通の人のふりをするだろう。
- 僕が今までこれを書かなかったのは、まあしばらく忘れていたせいなんだけど、でもこれを書くことでそういう能ある鷹な人たちが僕を危険人物だと認識して、攻撃されるんじゃないかと恐れていたせいもある。・・・恐れていたのは小さいときだけど。今となっては、これくらいのことを言う人は他にもいると思うので、きっと僕が口封じされることは無いと思う(でもこのページだけが頻繁に荒らされたらなんか意味深だよね・・・笑)。
- そんなわけで、実はこの世には僕たちが思っているよりもすごい人で満ち溢れているのかもしれない。ほら、あなたの隣の人だって、実は・・・。
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- なんてことを言っても、まあ実際のところそんなすごいことは無いと思う。というかそんなものを仮定するのは非合理だ。にもかかわらず僕がこれを書いたのは、平凡で退屈な毎日だなと感じたときに、これを思い出すとなんかちょっと楽しくなるので(わくわくする?)、そんなわくわくを誰か他の人にも教えてあげたらいいかな、と思ったからなのでした。
- あと、このページをわざと荒らすのは気の利いたいたずらだとは思うけど、メンテするのが面倒なのでやめてくださいね。
こめんと欄