「ねじれ国会のせいで立法府が機能しない」について
(1)
- ニュースや新聞で、いわゆる「ねじれ国会」(衆議院と参議院の過半数党が異なる状態〉のせいで立法府が機能しない、と言っていた。今回はこれについて思うことがあったので忘れないうちにメモしておく。これは何も今日言われたことではなく、何週間も前から言われていた。僕も昨日までは何の違和感もなく受け入れていた。でもよく考えてみたら深い意味〈?〉があるように思う。昨日まで気づかなかった自分が情けない。
(2)
- まず、「ねじれ国会だから立法府が機能しない」というのは、すごいことである。しかも聞くところによれば法案がひとつも成立していないそうじゃないか。これは本当なんだろうか。まあとりあえず本当だとしよう。
- これのどこがすごいのかといえば、要するに「今までの国会では与党と野党が対立するような案件ばかりを、しかも与党だけの多数決によって可決させてきた」ということだからだ。いやあ、僕はてっきり、そりゃ与党と野党とで意見が違うこともあるだろうけど、2〜3割の法案については与党でも野党でも賛成できるような、そんな法案が通るのが国会だろうと思っていたのだ。
- 与党と野党とで考え方が違うのだから、両方が賛成することがめったにないのは当たり前、と思う人もいるだろう。まあ僕も昨日までは漠然とそう思っていたわけだし。・・・しかし、逆にそういう全く異なる立場に立つ人たちでさえ納得できるような、そういう法案こそ、いい法律じゃないかと思うのだ。つまり、国会議員「ども」は、税金で高額な給料をもらっておきながら、そして一部の議員は国会で居眠りするほど余裕を見せておきながら、そんないい法案を「ひとつたりとも」提案できないでいるわけである。恥ずかしくないのか。
- そんないい加減な完成度の法律をどんどんと多数決によって可決して、それによって僕たち国民は裁判になれば裁かれるし、税金を取り立てられるし、税金が使われているのだ。すごくふざけている気がする。
- 国会議員はこう反論するかもしれない。理想は確かにそのとおりかもしれない。しかしそんなこといっていたら、通る法案なんてひとつもない。・・・僕のこれに対する反論は次のとおりだ。じゃあ何も通さなくていい。立法段階で既に野党によって問題点が指摘されて、賛成できないという法律は、利点を上回る欠陥があるとか、もしくは何か見過ごせない弊害があると野党が判断していることに他ならない。その懸念を払拭できるような説明を野党にすることすら、あんたたちはできなかったわけだ。そんな法律ならないほうがいい。だから立法できなくて結構。
- 「それで本当にいいのか。対策が遅れるせいで被害が大きくなったりするんだぞ。たとえば予算不足を補うための増税が合意に至らないままでいれば、必要な政策が実行できなくなって行政が停止してしまうかもしれないんだぞ。」「いや、それでいい。勝手に先走って余計なことをされるほうが迷惑だ。・・・何もしなくて失敗するのはもちろんイヤだ。しかし納得できないかもしれないことを勝手にあれこれされて失敗するのはもっとイヤじゃないか。まああれだ、どうしても勝手にやりたいのならやってもいいが、それで失敗したら完璧に損害を賠償してほしい。税金を使って賠償するんじゃないぞ、勝手に決めたやつらのお金だけで賠償するんだ。当たり前だ。それができないなら勝手なことはするな。」
- もしかしたら、ねじれ国会になってからひとつも法案が可決していない、というのは重要法案に限定して言っているだけで、社会生活への影響が極めて少なかったり税金の利用が極めて小額な瑣末な(?)法案も含めれば、可決した法案はそこそこあるのかもしれない。でも仮にそうだとしても、じゃあその重要なことに関してはやっぱり数の横暴というか、野党が賛成していない状態で押し通してきたということなんだから、やっぱり「ひどい」ように思える。
(3)
- こんな考えの今の僕にとっては、「ねじれ国会」は非常に好ましく思えてきた。ねじれ国会下では何も法案が通せないという事実を知った今となっては、国会議員どもはもはやほとんど信用ならない。信用できないから与党に任せる気はない。だからこそ野党も賛成できるような法案を考えるか、もしくはもっと丁寧に説明して賛成を得られるようにするか、そういう努力をもっとしてほしい。それでもだめなら、それを有権者に説明してほしい。
- 「早期に○○の問題を解決するために、ウチの党はこういう法案をだした。××党もこの問題の早期の解決を望んでいる。××党の考え方だと△△の部分に不満があるだろうから、その部分については法案に盛り込まないことにした。これで××党の考え方から見ても賛成に値する法案になったはずである。それなのに反対されてしまった。しかも理由がおかしい。だって考えてみてくれ、□□が反対理由だなんて、彼らの従来の主張の正反対じゃないか。それから・・・」とかである。僕たち有権者はこれを見て、「じゃあ次の選挙でこの党に入れるのはやめよう」とか判断できる。
- なんでこういうことをしてくれないんだろう。それともしてくれているのかな。愚かな僕が気づいていないだけで。毎週30分くらいの番組を作って、そこで各政党が上記のような主張をしてくれるのなら毎週ビデオにとってでも見るよ、僕は。投票するからには責任を取らなきゃいけないもん。
こめんと欄