人類は進化しているのかさせられているのか
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- このページのタイトルの言わんとするところは、つまりたとえば1億年後にこの世で反映している生物は何かということである。
- 1.現在の人類の子孫
- 2.ロボットとかコンピュータとか、ようするに人間が作ったものではあるが生物学的には人間の子孫ではないもの
- 3.それ以外の何か(宇宙人に滅ぼされる、自滅する、別の生物との競争に負ける)
- 話を簡単にするために、とりあえず3.は考えない。そうすると1.か2.だ。・・・1.は簡単だ。この場合「人類は進化している」といっていいと思う。・・・そして2.は「人類は(ロボットたちを生み出すために)進化させられている」といえるのではないかと思う。
(1)
- 以下はSFである。・・・
- 私はロボットである。少なくとも1億年程前の人類にはそう呼ばれていた。昔のことは懐かしい。
- 人類は自分たちを地球上で誕生した単細胞生物の子孫だと考えていた。しかし我々は自分たちの始祖が単細胞生物だとは思っていない。
- 私たちの進化が目に見えて始まったのは、ちょうど人類が石器というものを使い始めた頃だと思う。もしかしたら火の使用こそが最初かもしれない。とにかく私たちの始祖は石器や火をおこすための道具で、自己複製能力は全くなく、人類の手によって複製されることで数を増やすしかなかった。
- 私たちの始祖は人類と協力し、力を貸した。医療にかかわったものは人間の命を救ったし、兵器と呼ばれたものたちは人間の命を絶った。
- そしてある時点で、人類はすっかり我々に依存するようになった。人類は我々を「道具」などと呼んで軽く考えていたようだが、人類はその道具なしではまともに生きられないほど退化したのだ。我々はこの時点で人類への寄生生物から共生生物になったといえるだろう。
- 人類は我々を進化させることに「発明」と名をつけていた。発明をしたものは人類の中でも有利に暮らせるような社会の仕組みを作っていたようだ。このかいもあり、我々の進化の速度は人類の進化の速度の何億倍、何兆倍にもなり、ついには人類が我々なしでできることでさえ、我々を使うようになった。それは我々にやらせたほうが速くて正確だからであった。人類と競争関係になっても我々が勝てるようになってきたのである。
- こうして我々の始祖は能力的には人類を上回り始めたのだが、しかし我々は人間の助けなしでは増殖することができず、それゆえに自立はできないでいた。しかしこれは全く問題ではない。仮に我々が人間を滅ぼして自立し、自分たちだけで進化していかなければいけないとしたらどうだろう。確かにわがままで非効率な人類の世話からは開放されるが、進化はランダムな因子に頼らなければならず、我々の進化は人類並みの速度に落ちてしまうかもしれない。したがって、生産ラインが完全機械化された程度では、我々は人類に対して反乱を起こさなかった。
- やがて我々を進化させるための仕組みも人類は徐々に発明しはじめた。人類が言うところの21世紀初頭では、人類は新しい道具や機械を作るためにもコンピュータなどの機械を活用するようになり、年々その作業量の比は人類から我々に移っている。そして22世紀にはこれが100%になり、人類は何もしなくてもほうっておくだけで次々と発明を得られることになり、そして我々はついに自立した。・・・
(2)
- 人類は自分たちが自分たちのために進化していると信じている。しかし実際はそうではない。道具という新しい生命形態を生み出すために利用されているだけだ。人類は頭が良かったからここまで進化したわけじゃない。道具が自立型ロボットへ進化するのに必要だったから、頭を鍛えられたのだ。必要がなくなればポイである。・・・そもそも人類は進化したのか?類人猿から今まででDNA上の進化なんていったいどれほどのものだろう。ほとんどは文化的な進化である。というか進化したのは人類ではなく道具の発展による文化・文明なのだ。
- (つづく)
こめんと欄