日本の国債の現状を考えるためのメモ
名目GDPと政府負債残高の比の推移
- この表の意味:非常におおざっぱな近似として、毎年の税収は名目GDPに比例する(GNPとかGNIのほうがいいかもしれないのだけれど、データのありかがわからない)。そして毎年の税収の伸びが政府負債の伸びを上回れば、いつかは国債をすべて返済できる。比が変わらないようなら永遠に返済が続くことにはなるが、財政破綻も回避できるかもしれない。比率が悪化していくのなら大規模な改革をしない限り、政府は財政破綻を免れない。
- 日本:
年 | 名目GDP | 政府負債 | 比率 |
1994 | 486.5 | | |
1995 | 493.3 | | |
1996 | 502.6 | 343.7 | 68.38% |
1997 | 512.2 | 368.6 | 71.96% |
1998 | 503.0 | 427.0 | 84.89% |
1999 | 495.2 | 477.8 | 96.49% |
2000 | 501.1 | 522.1 | 104.19% |
2001 | 496.8 | 582.5 | 117.25% |
2002 | 489.6 | 643.2 | 131.37% |
2003 | 490.5 | 670.1 | 136.62% |
2004 | 496.1 | 751.1 | 151.40% |
2005 | 502.9 | 813.2 | 161.70% |
- 単位:兆円
- 政府負債は各年12月末のデータ
- 資料:
- 税収ではなくGDPを使った理由:
- 税収などというものは、政府がその気になって税率を上げれば、理論上の最高でGDPにまで達することができる。逆に下げることもできる。だから返済能力の指標としてはあいまいだと思う。しかしもちろん税率を上げすぎると多くの人は日本政府を見捨てて海外に移住するだろう。だから税率はむやみには上げられない。ということできっと税収を最大にしうるような税率というものが存在し、それをGDPに乗じたものが返済能力として(=比率計算の分母として)ふさわしい。その税率は分からないが、もしそれが毎年ほぼ一定だと仮定すれば、負債をGDPで割ったものは、返済持続能力を推し量る比率の計算には最適と思われる。
- 政府が財政破綻するとどうなるの?
- 色々な事態が想定されるが、結局のところどうなのかは分からない。ここでいう財政破綻というのは、つまり国債の返済期限が迫ってきて、でも持ち金が足りなくて(もちろん国有資産もすべて売却して)、それで国債を新規に発行したんだけど、その国債も買い手不足で売れ残った、さあどうしよう、という状態のことである。
- 歳出を大幅カットしたらどうなるか。無駄を削っているうちはいいが、必要なものまで削ると政府によるサービスが低下し、それに見合った税率に引き下げない限り、国民の海外流出は避けられないと思う。そうなればGDPや税収も減るわけで、結局状況はさらに悪化する。
- かといって税率を上げるというのも無理である。もちろん税率の上昇に伴って政府によるサービスが向上するなら問題はない。
- 税率を下げてかつサービスを改善すれば、海外の裕福層が日本にきてくれる可能性はある。これだと税収基盤は広がるかもしれない。薄利多売で利益を上げよう、みたいなところか。
- ということで税率の急激な上昇や政府サービスの急激な低下はないと信じたい。
- 強行策としては、国債の現金化を受け付けません!とある日突然いうかもしれない。国債は国債で払いますとか。これだと現金化困難な国債にどれほどの価値があるのか、ということになって、国債の価値は大幅に低下する。そうすると国債をたくさん持っている人や、国債を買ってきた(買わされた?)銀行は大赤字になり、預金を支払えなくなる。そうなると銀行倒産になる。そしてこのとき政府は預金保証をしたいのだけれども、預金保証するための現金もない。そうすると預金の補償は、国債という現金化困難な紙切れでなされるのかもしれない。このシナリオだと国債所有者と銀行預金者が損をこうむる。
- これを回避するとしたら、中央銀行(日本なら日銀)に国債を買っていただくしかない。中央銀行は印刷機さえ回せば現金を増やせるので、国債の買い取り能力は基本的に無限である。しかしだからといって現金をすりつづけると、今度は現金が市場にあふれるようになり、インフレになる。これだと国債保有者も銀行預金者も損をするが被害は軽減され、そのぶんタンス預金者も被害をこうむる。
- データさえあれば、アメリカ、イギリス、ドイツとかも調べてみたい
- その必要はなかった。以下のURLの Annex Table 32. にたくさんの国のデータが出ている。きっと僕なんかがやるよりも正確。
こめんと欄