続・出生率の低下
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- 人はなぜ出生率を低下させてしまうのか。そもそも生物は自分の子孫を残すために必死なのではなかったのか。その本能は人間では弱いのか。弱いとしたらなぜ?
- 普通に考えれば、自分の遺伝子を持つ子を一人でも多く残そうとするものは、種としての生存競争上は有利だ。でもこれがあまり優先されなくなってしまったから少子化になる。つまりさらに生存競争を有利にする何かがあって、そのためには少子化という犠牲を払ってもいいということなんだろう。
- その要因として考えられるのはやはり教育である。つまり、高い教養を身に付けさせることはできなければ子孫をいくらたくさん産んでも、みんなやがては死んでしまう(淘汰されてしまう)ということなのだろうか。確かに頭が悪ければ。仮に親がたくさんの財産を残してやっても(これは遺伝情報以上のものを継承したことを意味する)、それをギャンブルなどで一代で食いつぶすということは十分にありえる。
- 次に考えられる要因としては、今は過渡期であって、少子化でいいやと思う人たちはやがて淘汰されていなくなる、という仮説だ。そもそも少子化はここ数十年の傾向であって、数百年、数千年の傾向ではない。それじゃあ適者生存による淘汰は働かないわけで、(進化論的に)正しくなくても一時的に不適な固体が増殖することはありうる(短期的にはよくても長期的にはよくない場合とか)。
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- それともこうだろうか。もはや遺伝による進化は無視できるほどの差しかなく、文化の継承こそがすべてに優先されるようになってしまったのかもしれない(参考:boyaki_a/00038)。この観点で言えば、つまりどこの誰の子供でもいいから自分の後継者を見つければよく、そう考えると自分がリスクを投じて子供を産んで養育するなんてリスクばかりがあるということである。そもそも、今、教育は基本的に学校任せである。これは世間の親が、自分の文化的素養を子供に直接伝承する機会を放棄しているともいえる(もちろん学校を出た後に自分の技能を伝承させようとする親もいるけど)。そして芸能や企業は、適当に試験をして選抜し、適格なものを継承者にする。
- これはかなり有力そうな要因だ。・・・たとえば考えてみてほしい。自分に伝統工芸か何かの高い技能があったとしよう。そして自分に子供が3人くらいいたのだが、彼ら・彼女らはその伝統工芸には全く関心を示さず、他の職業についてしまった。と、そこへ、ある二十歳前後の若者が急に押しかけてきて、この工芸品に感動した、何年でもがんばるから弟子にしてくれ、お願いします、といってきた。そして20年後、彼は本当によくがんばり、自分の技術のすべてを学び取り、さらに独自の改良を加えられるようになり、一人前になったとしよう。さて、伝統工芸で蓄えた財産は誰に引き継がせるべきか。そもそも、その4人のうち、一番かわいいのは誰だ?
- この回答はたぶん人によってまちまちだろうけど、でも人によって判断が分かれるくらいに僕たち人類の「遺伝重視」の傾向はすでに相対的に弱められているのだ。・・・他の動物では多分こんなことはない。自分の子供がいないから、代わりに他人の子供を大事にするということならありうるかもしれない。でも自分の子供がいてしかも問題なく健康なのに、他人の子供のほうを重視してしまうかもしれないなんて・・・。
こめんと欄