バブルから身を守るには
(1)
- 世間ではアメリカのサブプライムローンに端を発した不景気でみんな苦しんでいるけど、これは要するにアメリカの住宅バブルがはじけたということなんだと思う。そして日本の株も暴落したわけだけど、これもバブルだったんだと思う。そして世界の株もバブルだった。というかこれまでの世界景気そのものがバブルだった。
- ここで僕は安易に「バブルバブル」といっているわけだけど、もう少し厳密に考えてみようと思う。・・・値段が数年から十数年をかけて上がってきたものが価格の下落によって戻ってしまったとき、その戻った量をバブルということにしたい。
- たとえば日経平均株価で考えると、2003年に911テロをきっかけとした7603.76円を付けた。その後下がって、確か先週末は7647.07円まで下げる場面があったと思う。仮にこの最低値が今後も当分破られないとしたら(数十年という目で見れば株価の最低ラインは年々徐々に上昇している・・・インフレが反映されているといえよう)、結局株価はこの5年ほどで0.57%だけ上昇したといえる。
- この計算の方法の妥当性には異論があるかもしれない。たとえば7603.76円や7647.07円はいくらなんでも株価としては行き過ぎた過小評価で、それをもとに上昇率を論じるのは乱暴すぎるだろう。しかし代わりになりそうな株価の計算方法は分からないし、それに過小評価の落ち込み率も毎回似たようなものだと仮定すれば、その比である0.57%という数値そのものはそれなりに妥当に思う。5年で0.57%というとすごく少ないように思えるかもしれないが、もし株を持っていればその間配当があったわけだし(つまりこの0.57%には配当による利益が含まれていない)、2003年からしばらくはまだデフレもあっただろうから、僕はそれほどおかしいとは思っていない。
- 一方で、その5年間の間に、18300.39円という高値も付いた。つまり、株価は2.4068倍になったあとに、0.41786倍になったのだ。この振れ幅のすべてとまでは言わないが、しかし結構な割合がバブルだ、というのが僕の主張である。結局、「2.4倍=行き過ぎた過小評価率×バブル率」だ。行き過ぎた過小評価率はどのくらいか分からないが、まあ行き過ぎというのもはおそらくあまり長くは続かないだろう。7603.76円を付けてから半年くらいたったときの株価が1万円くらいで、これは1.3倍くらいである。半年といえば5年のうちの一割の期間に相当し、まあ行き過ぎがあったとすれは、これくらいで回復しているといえよう。ということで、今回のバブル率は1.85倍くらいだと思う。
- この仮説に基づけば、つまり日本の株価の本来の実力は1万円前後程度で、それより高いのは全部バブルである。それより高い値段で買えば、そりゃ何かあって株価が正しく見直されたときに損をするのは至極当然である。
(2)
- 株価なんて結局は買いたいという人がいさえすれば、実際の価値には関係なく(まあ実際の価値などというものを定義できるわけじゃないんだけど)上がっていくものだ。相場なんて結局はオークションだから。みんなが熱狂すれば株価は一人歩きする。それが結局はバブルだ。でも僕はバブルを全面的に否定するつもりはない。バブルであることを分かってやっているのなら、それでいいのだ。つまりバブルの勢いを利用して、暴落前に買ったときの値段よりも高く売り抜けるつもりなら、そして本当にそれができる天才なら、それはそれでいいのだ。でも老後の資産運用とかのためだったら、バブルな値段で買うのはどうかと思う。
- バブルから身を守るには、結局はバブルの影響を受けないようにするしかないと思う。たとえば銀行が株に手を出していて、しかもバブルな値段になっても買い進めているようだったら、その銀行にはかかわらないようにするしかない。商売をやっているのなら、お客さんがバブルに身を投じているのなら、その人からの売り上げは当てにしないで商売の予定を立てるしかない。だってその人からのお買い上げを当てにしてしまえば、いつ不渡り手形をつかまされるか分からないのだから。それに直接のお客さんは安全でも、お客のお客がやっぱりバブルな影響下にあれば、自分も結局は連鎖的に影響を受けてしまう。
- 結局そんなことを言っていると誰も信用できないし、何の商売もできないかもしれない。それだと生きていけないから、そうなるとやっぱり日経平均先物を空売りして、バブル景気による利益を打ち消すしかないだろう。これはバブルが続いている間は一方的に損だけど、バブルがはじけたときには不景気による損失を補ってくれる。
こめんと欄