確率を正しく理解する人が大多数になるのはいつの日か
(1)
- たとえば子供がコイントスで表か裏かを当てて遊んでいるとする。10回やったところで、表が10回連続で出たとする。そして次にどちらが出るか当てよう、と問いかけたとしよう。
- この状況では、中途半端に確率を知っている子供が、裏に賭けたがる。表が11回連続で出る確率は1/2048だからだというのだ。そんな低い確率はまず起きないというのだ。というか大人でも得意そうにそう言う人がいる。・・・しかしもちろんこれは間違っている。
- もしコインに細工がないのなら、それ以前に何個表が続いていようとも、次に出る確率はやはり50-50である。これが分からない人がそれなりにいるというのが、僕は少々嘆かわしい。詐欺などにあわないように注意してほしい。
- まあ僕だったら、表が10回も連続で出て、しかも今まで一度も裏が出ていないというこの状況では、コインに何らかの細工がありそうだと考えて、表に賭けたいけれど(笑)。
(2)
- 50-50な理由がよく分からない人のためにあえて説明する。まず、確かに、
表表表表表表表表表表表
- になる確率は1/2048である(2^11=2048)。ここには何の間違いもない。しかし、
表表表表表表表表表表裏
- になる確率も1/2048なのである。だからどちらも確率は同じなのだ。一方の確率だけを計算し、もう一方の確率を1-1/2048=2047/2048と誤解したところが間違いの理由なのだろう。
(3)
- ついでなので書いておく。
表裏表裏表裏表裏表裏表
- と交互にきれいに出る確率も1/2048である。決してこれがよくあるパターンなのではない。
(4)
- 似たような問題でこういうものがある。ここにある会社の製品が10個あり、それぞれ出荷したてで箱に入っている。この会社の製品の初期不良率は1%だと言われている。
- 今、その10箱のうちの一つを無作為に選んで、あけてみた。そしたらなんと不良品だった。しかしここで、それを見ていた誰かが言う。「初期不良率1%ってことは、100個に1個の割合だよね。今回10個しかないのに1個あったわけだけど、ってことは残りの9個には不良品がまずないってことだよね?」当然だけどこれは間違っている。
- 逆に箱が1000個あって、999個あけてみたけど、どれも不良品じゃなかったとする。じゃあ最後の1個は不良品である可能性が高いか?・・・当然だけどこれも関係ない。どの箱も、それまでの不良品の数と関係なく1%の確率で不良品であるというだけだ。
- もちろん、生産ラインに問題がある場合などは、特定のロットに不良品が集まる傾向があるから、不良品だった箱にシリアルナンバーが近いものは不良品率が1%よりも大きいかもしれない。でもそういうことがなく、不良品がほぼ均一に存在すると仮定するのなら、それまでの結果で次の箱の不良品率がほんの少しでも変化することはない。
こめんと欄