人はどこまで安く暮らせるのか
(1)
- 聞くところによると、ジュースや駄菓子の原価はかなり低いらしい。ファーストフードの原価も低そうだ。コンビニのおにぎりも。パンの原価だって実は結構安いのではないかと思う。ここでいう原価というのは、原材料費だけではなく製造にかかるエネルギー代を含む。しかし送料や流通費用、梱包費などは含まない。毎日確実に10万食を買い取るとしたら、どこまで安くなるだろうか。
- もちろん人手なんてかけなくていい。工場でフル・オートメーションで生産する。ベルトコンベヤの終点には消費者がいると思っていい。ジュースの場合なら最後はタンクで、タンクにあるコックをひねって、消費者がマイグラスにジュースを入れるイメージだ。
- この調子で話を進めてもよくわからないと思うので、説明しなおし。
(2)
- 日本政府には生活保護や年金の支払いという負担が存在する。たとえば生活保護に関して言えば、国民には最低限度の生活をする権利があって、それを保証するための仕組みである。しかしこれが現在100万人くらいで、1人あたり月に12万円くらいかかっていると聞いた。この金額をどう思うだろうか。僕が思うに、お金で払うから12万円もかかるのであって、もし政府が必要な食料を一括で提供すれば、スケールメリットによって、もっと少ない金額で「最低限度の生活」が提供できるのではないか、ということなのである。
- 妄想はこんな感じだ。まず人が10万人とか100万人くらい住めるような団地を考える。団地といっても普通の公営団地みたいな豊かなものではなく、1人あたり5畳くらいのスペースだ。トイレもお風呂も共同。キッチンは原則としてない。布団とPCがあるだけ。スピーカーもなく、ヘッドホンが必要である。PCはテレビやビデオも兼ねる。エアコンとかはなくて、空調は建物全体で管理する。原則として窓はない。郵便物などがあればメールで知らせるので、管理室に自分でとりに行く。送りたいものがあれば管理室まで持っていく。これで郵便コストは下がる。まあPCがあるので新聞とか普通の郵便物なんて要らないだろうけど。
- 食事は食堂で食べる。メニューは選べるが1年前に決める。食べる時間も前もって決まっていて、それを守って食堂の回転率を上げる。もちろんセルフサービス。食品については、もはや他の町で作って持ってくるなんて事はしない。団地の隣にでも工場を建てる。Aグループはパンを1日(ついたち)の午前に食べて、Bグループはパンを1日の午後に食べる、などのようにメニューをうまくずらして、さらに全体でローテーションすることにより、毎日同じ物を食べなくても消費量を一定にするようにする。だから倉庫みたいなところにためる必要はほとんどない。発電所も近くに建てる。屋上は朝日ソーラーみたいな湯沸し器と太陽電池パネルで埋めつくす。洗濯も施設がやる。規定の服・下着であれば、管理室に出せば同サイズのクリーニング済みのものとすぐに交換してくれる。一人3着くらい持っていれば問題ないだろう。
- とにかくコスト削減がもっとも重要である。しかしだからといって安ければいいというものではない。もちろん指定されたメニューを食べている限り、太りもしなければやせもしないし、生活習慣病にかからないように栄養調整もばっちりだ。なにしろ健康を害してしまうと結局は治療費も政府負担になってしまうのだから、かえってコスト高になってしまう。だから住民の健康も十分に配慮する。半年に1度くらい健康診断をしてもいいと思う。これもローテーションさせれば、健康診断の設備の稼働率は100%にできる。
- 要するに、とにかく人を一ヶ所に集めて規則正しく管理すれば、スケールメリットによってコストは劇的に下がるのだ。住民は衣食住に心配する必要はない。健康も心配しなくていい。その分好きなことをすればいいのだ。どうしても規定の服以外のものを着たければ、それは自分のお小遣いで買えばいい(生活保護者にも毎月3000円くらいのお小遣いをもらえるようにすればいいと思う)。規定のメニュー以外のものを食べたければ施設の外に出てお小遣いで食べればいい。
- こんな施設を政府が建てればいいのだ。どこか地価の安いところに。交通の便なんて悪くていい。ここから出かけるのが大変になるだろうけど、それは「ぜいたく」なので多少不便でもかまわない。政府が運営しているので固定資産税はかからない。団地を作るときの初期投資が結構かかりそうだけど、10年もすれば確実に元は取れると思う。
- 高齢者に年金を払うのもいいけど、年金を払う代わりにこの団地への入居できるということにしたらどうだろう。
(3)
- 結局これはスペースコロニーを地上に安価に作ったものと思えばいいかもしれない。スペースコロニーでの不便な生活を思えば、この団地での不便さは取るに足らないと思う。
- 結局この団地で暮らす場合、1日に1人あたりいくらのコストがかかるだろう。食費や光熱費を含めても300円とかが可能なんじゃないかと思う。料理を作らなくていいし、洗濯もしなくていいのだ。そんな生活で1年間暮らしても10万円ほど。がんばって働いて100万円ためたら、10年間は何もしなくてもいいということになる。・・・だったら、僕だってこの団地に入りたい。年10万円くらいなら払ってもいいから。僕のように職場に行かなくていい仕事の場合(本の執筆とかプログラムの開発とか)、この団地から出ることなく年10万円以上の収入が得られそうなので、ずっと暮らすことも可能だろう。
- こんな生活は画一的過ぎていやだという人もいそうだけど、僕からすると未来的で面白そうだと思う。だって究極的には、料理も洗濯も機械が自動的にやっているということだ。これこそ昔のSFではやった理想の未来じゃないか。しかもこの生活の仕方は非常に省エネっぽい(大量調理、共同浴場、建物全体の気温管理)。わくわくする。・・・政府はやってくれないかなあ。
- これは価値観の問題かもしれないけど、部屋にあるPCでネットワークRPGをやってその中でお金持ちで広い家に住む、っていうのもいいんじゃないかな。それで満足できるのならその人は幸せになれそう。そして僕もこれで満足できそうな気がする。
こめんと欄
- 「がんばって働いて100万円ためたら」といっても、職場が無いのでは?KさんのようにPC(とネットワーク)があればお金を稼げる人はそう多くは無いでしょう。クリーニングや食品の工場も機械化されていて従業員は少ない。「交通の便なんか悪くていい」から街に働きに行くのも大変ですし。ここに住み始めたら、子孫も含めて他に移り住めなくなりそうに思います。 -- さとう 2007-03-12 (月) 18:51:06
- さとうさんありがとうございます。そうなのです、仕事がないかもしれないのが最大の問題です。だから働いて100万円ためるのは別の場所でやるしかないかもしれません。何か機械に任せられない種類の仕事があればいいのですが・・・。もしくは太陽がある限り完全自動で発電して植物育成プラントが稼動して・・・みたいに人間は何もしなくても生きていけるようになる方向を目指すか・・・。これだと、食費や光熱費を含めても1日あたりのコストはほぼゼロになるかもしれません。 -- K 2007-03-14 (水) 22:30:20
- 完全自動化は夢物語っぽいので(ちょっとSF度が高すぎる)、現実路線で考えると、とりあえず、在宅で仕事のほとんどをこなせるような職種に限られるとは思います。どんな職種かなあ。作曲家とか(ヘッドホン必須)画家とかならいけそうです。漫画家もPCとネットワークで共同作業できるのなら、なんとかなるかもしれません。とにかく職種がかなり限られるのは間違いないですが、かといってまったくないというわけではなそうです。だからそういう産業を発展させれば、これはこれでやっていけるかもしれません。なんといってもわずかな儲けでも暮らしていけるのですから。もしくは宝くじとかに当たれば、そしてそれを全部定期預金とかにすれば、金利だけで生きていけるのかも? -- K 2007-03-14 (水) 22:49:01