計算方法の理由
(1)
- たとえば、 -3-2 は -5 だが、なぜそうなるかが分からない人がいる。分数の掛け算では分子同士、分母同士を掛け算すればいいわけだけど、それもどうしてそうなのかが分からない人もいる。割り算では逆数をかければいいのだけど、どうしてそうなのかが分からない人もいる。
- ついでに言うと地球が丸いことを知っていても、その証拠を何一つあげられない人もいる。
- そういうのは「問題が解ける」というだけで、分かったことにはなっていないと僕は思う。本質が分かっていないので、応用力がない。逆に以下のような理屈が分かっていれば、計算上のテクニックなんて少し忘れてもどうにでもできる。実際僕は、数学の問題を解くのは非常に遅かった。記憶力が乏しかったせいだ。しかし時間さえあれば正解にたどり着いていた。
(2)
- 負の数
- まず、負の数とは何かを理解するべきだ。数はいろいろなものを表すことができるが、しかし万能ではない。負の数は借金も含めた資産や温度などを表すのに用いることができる。物の個数などを表すことはできない。だから「お皿の上に-3個のりんごが載っています」と言うことはできないし、そんなお皿を用意することはできない。でも資産や温度などを表現するのにこれほど便利なものはない。
- ちなみに小数や分数も物の個数を表すためには使えない。小数や分数は物の量などを表すことには使える。たとえば一本のチョークを持ってきて、それを真ん中で折れば、それは2本になる。その片方はやっぱり1本であって0.5本などではない。個数はそのようには数えないのだ。個数には小数が使えない。
- しかしそうであってもそのチョークを「新品のチョークの0.5本分の量」ということはできる。これは個数ではなく量を表しているからだ。ポケットをたたけばビスケットの個数は増えるが、量は変わらない。
- ということで何を表現するかで使える数字は変わってくる。虚数を「実在しない数」などという人がいるが、これは間違っている。虚数で表したほうが便利なものもある。数にはそれぞれ適用対象があって、それ以外で使おうとすればおかしなことになる。まずそれを理解しなければいけない。でも学校ではこれをきちんと教えていないようだ。
- さて、では資産で考えよう。お金のことはみんな(なぜか)理解しやすい(笑)。1000といえば、それは銀行に1000円の貯金があるという意味で、-500といえばそれは500円の借金があることを意味する。いいかな?
- 資産における正の数の足し算は、「銀行にお金を払うこと」を意味する。銀行にお金を払えば、貯金なら増えるし、借金なら減る。これは当然だ。きっと疑問に感じたりはしない。だから、1000+100は1100だし、-500+100は-400だ。これはいいだろう。銀行にお金を返したのに、500円の借金が600円の借金になったら、それはおかしいと思うのだ。このとおり400円の借金になるべきであって、200円や450円の借金になることもないはずだ。
- 資産における正の数の引き算は、「銀行からお金を引き出すこと」を意味する。銀行からお金を引き出せば、貯金なら減るし、借金なら増える。これも当然だ。だから、1000-100は900だし、-500-100は-600だ。これに疑問を感じるだろうか。
- 同じことを温度でやってもいい。15といえば氷ができる温度よりも15度高い温度で、-8といえば氷ができる温度よりも8度低い温度だとしよう。正の数の加算は温めて温度を上げるという行為だ。どのくらい温めるかは数値で表す。だから 15+2 は 17 で温かくなるし、 -8+2 は -6 でやはり温かくなっている。正の数の減算は冷やして温度を下げるということだ。だから -8-3 は -11 であって、 -5 などにはならない。 冷やしているのに温度が上がってはおかしいではないか。
- こうしてみれば、 -3-2 が -5 になるのに疑問を感じることはない。
- 今度は負の足し算だ。足し算は「銀行にお金を払うこと」を表現するのに利用できたが、実は二つの銀行に口座を持っているときの合計資産の計算にも使える。何を言っているのかよく分からなければ、要するにもし僕が、A銀行に1000円の貯金があって、B銀行に2000円の貯金があれば、合計で3000円の貯金を持っていることになるよね、という話だ。
- じゃあこれが借金だったらどうだろう。1000円の借金と2000円の借金の合計で、3000円の借金になる。これがもし足し算で表現できれば、二つの銀行に口座を持っているときの合計資産の計算は、貯金も借金も関係なく「足し算」だけで計算できることになる。それは便利だ。だから -1000+(-2000) は -3000 なのだ。
- 借金と貯金が混ざっていてもOKだ。 1000+(-2000) は -1000 だ。つまり1000円の貯金と2000円の借金があったら、それは合計すれば1000円の借金だということになる。これは正しい。
- 学校では、 1+(-2) を 1-2 と変形して -1 という答えを出すと教えているかもしれない。確かにその変形は間違ってはいない。しかしそんな変形がどうしてできるのか、まずそれを説明しなければいけないだろう。数値が何を表しているのかを意識すれば、数値に意味が与えられて、このように理解することができる。
- さて負の引き算は難しい。上記の例では、お金を銀行から引き出すことが引き算で表現できるとした。じゃあ2000円の借金を銀行から引き出せば、引き算をすることができる。しかし、1000円の預金があるときに2000円の借金を引き出すというのはどういうことか。まあ説明できなくはないのだが、非常にややこしい。
- ということで、違う方法で説明することにする。まず、数が正の場合、同じ数を引き算すれば答えは0になる。つまり、 1-1 は 0 だし、4-4 も 0 だ。この性質は、数が負であっても成り立っていたらうれしい。正の数と負の数とでルールが違っていると、今まで正の数で作ってきた公式が負の数では使えなくなるかもしれない。それは不便だ。だから、従来のルールが使えるように負の数の引き算を決めたい。
- ということは -1-(-1) は 0 だ。 -4-(-4) も 0 だ。・・・そうだとすると面白い性質に気が付く。そもそも -1 というのは1円の借金を意味していて、 0 というのは貯金も借金もないという状態を意味しているわけだが、つまり1円の借金があるときに「-1を引く」とその借金がチャラになっているのだ。借金をチャラにしているということは、1円を銀行に払うことではないか。ということは、「-1を引く」というのは「1を足す」ということに相当しているのだ。こう決めれば正の数と負の数とで同じルールが使えるようになる。
- ということで、 -4-(-4) は -4+4 と変形されて 0 となる。 2-(-3) も 2+3 と変形されて 5 になる。引き算なのに、引く前より数字が増えるのは本当に変な感じだけど、でもそれはそういうものなのだ。同じ数を引き算すれば答えは0になるというルールを守るためにはこれしかないのだ。
こめんと欄