格差社会について

  • (by K, 2007.05.04)

(0) 背景

  • なんか最近なんでも「格差社会」のせいにする人がいる気がする。世論というか流行なのかな。それがすごく気になるので、忘れないうちに思ったことをメモ。

(1)

  • まずは格差社会という言葉の定義みたいなものを大雑把に考えてみたい。ようするに、お金持ちの家に生まれた子供が将来お金持ちになり、貧しい家に生まれた子供が将来も貧しい生活を強いられる、みたいなことを指しているんじゃないだろうか。これに似た言葉で「勝ち組・負け組」なる言葉もある。これらは結局同じようなものなのかな。
  • もし本当にお金持ち・貧乏が能力に反して世襲されてしまう傾向が強いとしたら、それは確かに問題だと思う。しかし、能力に則しているのだとしたら、僕はさして問題だとは思わない。

(2)

  • お金持ちの家は教育にお金をかけ、結果的に子供も高い能力を身に付ける傾向がある、ということはありうると思う。そしてこれは基本的にはいいことだと思う。これがあるから格差社会になるのだという人はいるかもしれない。でも逆にお金持ちの家がお金をかけても高い能力が身につけさせることができないとしたら、その家庭教師・学習塾・学習教材はいったいなんなのだ?ただの詐欺じゃないのか?そんな世の中が健全なのか?
  • 問題はお金持ちがどんどん先に行ってしまうことではない。先に行くのはむしろいいことなのだから。そうじゃなくて、貧乏な人が追いつけなくなることのはずだ。
  • そこで僕は疑問に感じる。はたして貧乏な人が格差社会はけしからんというとき、そのひとは一生懸命に勉強したのだろうか。お金持ちは少ない労力で大きな学習成果を上げるためのなんらかの教材を買っているだろう。だから「あいつと同じくらい勉強したはずなのに追いつけない」のは当たり前である。同じくらいではなく明らかにそれを超えるほどがんばったのにそれでもダメだったのだろうか(勉強は時間だけではない、手法の工夫も含む)。そうだとしたら、確かにその人には格差社会を批判する資格があると思う。
  • そうではなくて、ろくに努力もしてこなかったくせに格差社会のせいにするのは、ふざけている気がする。本当は自分のせいなのに、それを社会のせいにして自己正当化したいだけなんじゃないか。

(3) 正社員と非正社員

  • 格差社会の話では、お金持ち・貧乏の結果的な世襲傾向だけではなく、正社員・非正社員の賃金格差の話もよくある気がする。同じような仕事をしているのに賃金が違うのはなぜだ、けしからん、みたいな話だ。そして仮に非正社員の人が「このままじゃいけない!」と思って少しずつ勉強して資格をとって転職しようと思っても、あまりに賃金が少なくて自由な時間が持てず、勉強時間が持てない、かといって仕事時間を減らせば生活費が不足して死んでしまう・・・といったストーリーが典型的だと思う。
  • 要するにこの人は悪くないのにそれに手を差し伸べられない社会はひどいよね、とかいうことなんだと思う。ワーキングプアともいうのかな。

  • しかし僕はこの説明の仕方はよくないと思う。とても大事なある部分に言及していない。それはつまり、過去だ。この人はそもそもなぜ非正社員になったのか。他の人が正社員になるために努力したのに、この人はしてこなかったから非正社員になったのではないか?また、仮にやむをえない理由で非正社員になったとしても、最初から「このままではいけない」と思っていたのだろうか。貯金が尽きる前にどうして勉強をはじめなかったのか。
  • そもそも最初から貯金がなかったらどうするという突っ込みもできる。しかし僕が思うに、15歳まではたいていの家庭なら誰でも無料で暮らせる(もちろんそうでない家庭もある、そういう人は本当にかわいそうだし、この人たちこそ救済の対象として政府が尽力するのは大賛成だ)。だから好きなだけ勉強できる。そのときに本当に将来のことを思って勉強したのか。勉強したにしても、自分の好きなことを優先するあまり、非常に狭き門を目指してそこに入れなかったとか、もしくはお金になりそうもないことを目指したのではないか。
  • 結局のところ、非正社員で苦しんでいる人のうちのある程度の割合は、単に過去の自分のツケを払わされているだけのような気がしてならない。もちろん本当にかわいそうな人はいる。でも自分のせいなのに社会のせいにしている人も少なくないと思う。そういう人への救済はする必要がないというつもりはないけれど、しかしろくに反省しないまま救済の手を差し伸べればまた同じような失敗を繰り返し、結局は救いの手が生かされないことになるような気がする。
  • イソップ童話に「アリとキリギリス」という話がある。アリのように春も夏も秋も十分に努力して、それでもだめだったのなら確かに救済する方法を考えよう。でもキリギリスのように暮らしてきて、それで冬になって急に泣き言をいっているだけだとしたら、それはすぐに救済するべきなのか。・・・ということで、僕としては格差社会だの負け組だのワーキングプアだのという話を聞いても、基本的にはあまり同情できない。現状がどんなにむごたらしくても、まずはそうなってしまったいきさつと、それを本人がどのくらい反省しているかだと思う。
    • たとえば、「小学校のときあまり勉強しなかった。今思えば、あの時勉強しておけば・・・」と本心からいえれば、いいと思う。
    • たとえば、「小学校のときあまり勉強しなかった。まあそのせいのような気はするけど、あの時はみんなも勉強していなかった。あの状況下で自発的に勉強しろっていうのはちょっと無理だと思う。」なんていいわけするなら、まだ救済する必要はない、とか。

(4) 僕の過去

  • こんなことをいうのは、多分僕の過去とを関係がある。僕のうちは貧乏だった。僕は運動神経も鈍く、やせていて、明るい性格であったとはいえない。どちらかといえば「いじめられっ子」でもあった(といっても今の陰湿ないじめとは違う)。両親にもほとんど向学心はない。家庭教師をつけてもらったことはないし、学習塾にいったこともない。家にはテレビゲーム機もなかった(時代的背景:小学2年のときにファミコン発売)。囲碁盤と将棋盤はあった。
  • 友達も多くなかった。同じ友達と毎日遊ぶような感じだろうか。
  • テレビもあまり見ていなかった。好きなプロ野球選手は?って聞かれても全然分からなかったし、芸能人も全然知らなかった(というか、今もほとんど分からないけど)。だからクラスメイトと話をしてもあまり話が合わない。僕がついていける話題といえば、学校行事のこととか授業の内容とか近所に公園ができたとか、そういう話題である。
  • 小学校4年からパソコンで遊ぶようになったが、それは趣味としてはあまりよくなかった。友達には「くらい」といわれる。両親は「ゲームをしている」くらいにしか思っていない。父親などは、まともな人間のするものじゃない、とまで思っていたようだ。
  • とりえらしいとりえは、算数と理科がすきというだけ。4月になると教科書がもらえるが、もらった日のうちに算数と理科の教科書だけは全部読んだ。・・・かといって勉強家であったというわけではない。家に閉じこもって本を読んだり工作するような、そんな小学生である。NHKの教育番組は好きだった。

  • 今の僕は十分に恵まれていると自分では思っている。いわゆる勝ち組ではないかもしれないが、負け組でもないと思う。それは僕が優秀だったからじゃないと思う。僕は他の人が遊んでいる間に、普通の人がやらないようなことをしたせいだ。たとえばプログラミングとか。そしてそれがたまたま後になって経済的価値を認められるようになったというだけのことだ。
  • でも僕は将来周囲の人たちを見返そうと思ってプログラミングをしたわけじゃないし、この技能を伸ばしておけば将来暮らしていけると思ったわけでもない。・・・というか、もしそう思ったのなら僕はもっとまっとうなプログラミングの勉強をしたはずだ。そしてもっと普通のプログラマになっていたと思う。現実の僕は、自己流でプログラミングを覚え、他人には真似しがたいプログラムを作る人になった。そしてそれが、今では僕の生活費の源になっている。・・・ということで僕は運がよかっただけだ。
  • 僕は自分の過去があわれむに値するほどつらかったとは思っていない。子供心に、弱いものが強いものに虐げられてコソコソ暮らすのは当たり前だと思っていた。みんなにちやほやされることもなかった。自分はその程度の人間だと思っていた(今もその程度だと思っている、ただ過分な評価をもらっただけで)。
  • こんなゆがんだ僕の目から見ると、格差社会だとか負け組だとかワーキングプアだとかを嘆く人は、幼いときに楽をしてきたせいなんじゃないの?と、まずはいいたくなってしまう。もし僕みたいな境遇でスタートしてそのまま負け組になったとしても、まあそんなものというか、わざわざ嘆かない気がする。

  • ○○委員、みたいなものもたくさん押し付けられた。誰もやると言い出さないので面倒になって引き受けたこともあった。僕はこれで苦労したが、結果的にコミュニティを維持するだけのスキルを無料で身に付けた。
  • 世間では義務教育で教えられることは役に立たないと軽視する人がいるようだけど、僕はそうは思わない。義務教育とテレビ・ラジオの教育番組をすべてこなせば、相当な能力を獲得できると思う。つまりほぼ無料の教育を受けるだけで、相当なものになると思う。だから貧しい家庭に生まれてもちゃんとやれば這い上がれる。格差社会を是正するためにあれをしろこれをしろというのもまあ結構だが、その前に既に提供されていることを活用しようという気はないのだろうか。それで這い上がった人は決して少なくないと思うのだけど。

こめんと欄


コメントお名前NameLink

リロード   新規 編集 差分 添付   トップ 一覧 検索 最終更新 バックアップ   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2007-05-04 (金) 16:18:54 (5535d)