だます人・だまされる人・誘惑

  • (by K, 2008.05.10)

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  • 僕は小学生のときも中学生のときも高校生のときも、悪徳商法とかをする人のことを心から憎んでいた。(僕が学生のことにはなかったけど、もしあったとしたら)振り込め詐欺・オレオレ詐欺なんかも嫌いだった。麻薬とか覚せい剤とかを売る人も憎んでいた。
  • でもいつごろからか、それほど憎らしいとは思わなくなった。

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  • 高校だったか中学だったかはよく覚えていないけど、未成年でタバコを吸って休学だか停学になった人がいたような気がする。自分の通っていた学校でのことだったか、それとも近所の別の学校のことだったか、今では記憶があいまいで分からない。僕はそのとき、タバコを吸ったその学生は確かに悪い、どうしようもなく悪いと思ったけれど、学生の目に付くようなところで自販機がタバコを売っていることも悪いんじゃないか、とも思った。つまり誘惑に負けた学生は悪いが、誘惑するようなところに自販機を設置した人は悪くないのか?ということである。誘惑さえなければ、その未成年はタバコを買わなかっただろうから。
  • だます人を憎むのは、こんな理由からだった。だます人がいるから人を信じるのに用心深くなる。もしこんな人がいなければ、疑うための労力や確認するための時間が不要になって、世の中はもっと良くなるんじゃないかと思った。そもそもだますっていうのは、だまされた人が正当な手段で苦労して手に入れた何らかの富をかなり少ない手間でさらに不正な手段で奪うことなんだと。

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  • 今の僕はあまりそういう風には考えない。とくに選挙権を得て、自分で投票するようになって、それで「なんでこんな人が当選するんだ?!」と選挙結果にがっかりしたり、自分が納税するようになって納税者意識が生まれて、「なんでこんなことに税金がこんなに使われているんだ?!」と憤慨したりするようになってから、結局、よく考えもしないで適当に投票している人がたくさんいて、その人たちが政治を左右してしまっているのだと思うようになった。よく考えもしないで投票するくらいなら棄権してくれたほうがいいんだけど、現実はそうではないらしい。
  • どうしてこんなことになってしまったのかを考えると、結局、人の話を用心深く聞いて吟味するということが実生活にほとんどないせいなんだと思う。誰の話でも愛想良く話してくれればそれで信じてしまうという人なら、そりゃ演説に来て握手してくれた人に投票したいと思うかもしれない。政策とかを比較することもなしに。
  • 毎日毎日、どう贔屓目(ひいきめ)に見ても教養的とはいえない番組を視聴しているだけの人もいるだろう。そんな人にも投票権はあるし、失業すれば失業保険は出るし(まあ保険料を払っていたんだからこれは当然の権利なんだけど)、生活に困れば生活保護も支給されるだろう。でもそれでいいのか?本当にこれでいいのか?そういう人がもし結婚して子供ができたら、やっぱりその子供もその程度の知能だろう。確かに平和でそれはすごくいい。でもそれは戦争がないだけじゃないか。平和がいいなんていうのは戦争があるかもしれないときに言うべきことであって、戦争なんてもってのほかの論外という現状にあっては(そういう意味では本当にいい時代になった)、平和なだけで甘んじていてはいけないと思う。たとえていうのなら、借金(戦争)はよくないけど、借金(戦争)がないだけでいいというわけじゃないのだ。貯金(進歩)しなければ!
  • つまり僕が言いたいのは、人類はほんの少しずつでもいいから進歩しなきゃいけないと思う、とそういうことなのだ。進歩がなければ何も改善しない。そして平和に甘んじて進歩を怠れば、なにか危機が来たときに危機に対処できず滅んでしまう。

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  • 進歩するにはどうしたらいいかというと、それは簡単だ。人間社会も結局はただの生物の集団でしかないので、ほうっておけば、より進化した人とそうでない人が出てくる。そして進歩していくためには、より進化した人に有利で、そうではない人には不利になるような何かが常に存在していればいいのだ。僕は今ひどいことを言っている。つまり「何も悪いことをしていなくても」、ただ進歩していないという理由だけで、その人の暮らしに不便を強いられてもいいと言っているのだから。
  • そしてこの目的のためには、詐欺や誘惑が最適だと思うのだ。未成年がタバコを吸えば健康に著しい害がある、それを分かっているのに自動販売機は、「ほらー、買ってよー」とばかりに誘惑する(そもそも未成年じゃなくても健康には害があるけど)。こんなものを売ってお金を儲けるなんて、考えようによっては詐欺並に憎らしい。でも、これは僕たちに与えられたテストみたいなものなのだ。この誘惑に負ければその分貧乏になって暮らしはきつくなる。将来医療費もかかるだろう。このハンデを上回る才能(仕事がうまくて給料が平均より多いとか)を示さなければ、この人は繁栄しない(この人の家族も繁栄しない)。
  • 振り込め詐欺なども似たようなものだ。まず金額が十分に合理的で、しかもそんなに高額ではなかったとしよう。その場合、最初の一回はだまされるかもしれない(僕も引っかかるかもしれない)。しかしそれはそれほど痛手ではない。授業料だと思えなくもない。しかし高額でやたらと急がせるようなものは、もう少し慎重になるべきだから、引っかかるのはどうかと思うのだ。先日テレビで見たケースだとATMで誤操作させてお金を奪うというものだったけど、あんなのは論外のように思う。ATMの知識があればおかしいと思うはずだし、知識がないのなら犯人の言いなりなんかにならず、もっと操作に慎重になるべきだと思うのだ。・・・そして注意力のない人が不利になり、繁栄できなくなるというわけだ。
  • そう考えると、実はタバコの自動販売機や詐欺師は、そんなには悪くないような気がしてくる。人類を進歩させるための試練をやってくれているわけだ。それならその仕事に対して報酬があってもいいと思う。その報酬はどこからまかなえばいいのかというと、それはやっぱりタバコの売り上げや詐欺で巻き上げたお金を使えばいいだろう。そう考えると、詐欺師を無条件に犯罪者扱いするのはなんだかかわいそうな気がする。
  • ただし僕はすべての詐欺を肯定する気はない。なんというか常識的に詐欺だと分かるものでないとダメだ。あまりに巧妙すぎて、引っ掛けた人の半分くらいが引っかかってしまうようなものは、淘汰の圧力としては高すぎるように思う(そんなレベルでは用心深さの強さが生存有利の度合いを左右しすぎてしまい、他の大事な能力が生存競争に生かされない)。そんな人は犯罪者として重い罰を受けるべきだし、被害者も救済されるべきだ。・・・そうだな、10人のうち1人くらいならまあ許容できる気がする。もちろん徐々に人々が賢くなってきて、同じ詐欺を繰り返していても効果がなくなってくるだろうと思う、そのときはまた引っ掛け率が10%を超えない範囲でなるくらいに調整して新しい詐欺や誘惑をしてもらいたい(?)。10%はまだ詐欺師に有利すぎかもしれない。それなら1%未満でもいい。
  • そういえば、年内にも未成年がタバコを自販機では購入できなくなるそうだけど、これは僕としてはこのような意味では残念だ。いい選抜テストだったかもしれないのに。
  • グレーゾーン金利も廃止しないままのほうが良かったと思うんだけどなあ。高い金利でも借りたいならそれでいいような気がするんだけど・・・。そういうことを考えずに借りていたのなら、それは不注意なんだから選抜テストとも言えるわけだし。それまで金利のせいで破産していた人ような人は、低金利になったところで破産するまでの時間が長くなるだけで、結局破産するという結論に変わりはないような気がする。それだったら早く破産して子孫を残せる確率を下げるとか、もしくはその後復活できた場合には復活後の人生が少しでも多く残っているほうがいいんじゃないのか?

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  • ちなみに、だます人がいなくなればと思う気持ちは今でも十分に分かる。でもだます人がいるのはだまされる人がいるからでもある。もしみんな十分に用心深くなって、安易にだませなくなったり、誘惑してもほとんど効果がなかったりしたら、だますほうはカモがいない状態になり、生活が成り立たない。だから詐欺業を続けられなくなる。どんなに腹黒い性格で悪い人であったとしても、やっていけないのだからやらない。つまりだます人をこの世から根絶する最も単純な方法はだまされないように注意することであって、だます人を憎むのならだまされる人もその半分くらいは憎むべきなんだと思う。被害者だからかわいそう、なんて言っているようではたぶんカモが増えてしまい、詐欺は減るどころか増えるだろう。
  • このページの文章をちゃんと読んでもらえればわかると思うけど、たとえば「この薬を飲まないと殺すぞ」とかいって脅して麻薬中毒にさせるみたいなのは、誘惑しているなんていうレベルをはるかに逸脱しているから、どう考えても卑劣な犯罪である。
  • 製造年月日のごまかしなどの確認が非常に困難な詐欺(食品偽装)も、常識的に用心深ければ回避できるといえるようなものではないと思うので、救いがたい犯罪だと思う。
  • 考えてみると宝くじも選抜テストだよなあ。何か裏技でもない限り、買った金額未満の期待値しかないのに、買っちゃうんだもん。もし裏技が存在するのなら、それはむしろ問題だし。それを宣伝して当たったらこんなにいいよとか言って買わせている。冷静に数学的に考えれば買うべきではないものを買わせている。これって公的機関が独占的にやっている詐欺なんじゃないの?僕には学校で初級の確率論を理解できたかどうかをこっそり選抜しているようにしか見えない。グレーゾーン金利よりもはるかにタチが悪い気がするけど、誰も問題にしていない。僕としては問題にして廃止してほしい訳じゃなくて、民間にも開放してもっとやらせたらいいと思う。どっちにしても僕は買わないけど。
  • なんというか、政策は徐々に箱入り娘を外に出さないかのような過保護方向に進んでいるのではないか?悪くなるかもしれないものに触れさせまいと。でもそれが結局国民を無知で無防備な方向に退化させていき、結局国策も迷走しがちなんだと思う。・・・こんな状態にして誰が得をするのかというと、人を扇動して実質的に国を支配しようと思う人ぐらいじゃないかなあ。もしくは国民の質が下がりきったところで簡単にだまして乗っ取りたい人とか。そんな人が存在するのかどうかは知らないけど、もしいればこの流れは大歓迎だろう。
  • 僕としてはそういう腹黒い人がいてもいなくても、とにかくみんなが少しずつ賢くなる方向に進んでほしいから、過保護政策は徐々に解除して(この解除速度も引っかかる人が全体の10%未満かどうかを基準にしたらよさそう)、それについていけない人は結果的に不利なことになって淘汰もやむなし、って方向しかないと思う。それによって僕が不利益をこうむって暮らしにくくなる可能性もあるんだけど、その分僕よりも賢い人たちが次世代、次々世代を担ってくれるのなら、僕はかまわない。
    • ちなみに僕もオークションでまんまと引っかかったことがあるので、自分の間抜けさはある程度分かっている。それ以来、高額な商品は代金引換などで応じるようにしてそれ以降は問題ない(評価やブラックリストも参考程度にしかならないことがつくづく分かった)。引っ掛けられたときはなんてやつだと思ったけど、今では悪くない授業料だと思っているし(それにしても僕にとっては高くついたけど)、うらんでもいない(もちろん金返せーと言う気もない)。

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Last-modified: 2008-05-11 (日) 09:34:58 (5162d)