出生率の低下

  • (by K, 2008.10.21)

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  • 日本では出生率が低下している。でも実はこれは日本に限ったことではないらしい。
  • 産児制限を行っていた(今でもやっているのかな?)中国が1.73(つまり人口維持の目安とされる2.08未満)なのはまあしょうがないとしても、ロシア1.34、韓国1.21、香港0.97とかをみるとやはり日本の特殊事情であると断言することはできないと思う。

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  • その昔(たとえば縄文時代など)は、15歳以上の人の平均寿命は30歳程度だったらしい。つまり子供のときに大病して死ぬことがなくても、たいていは30歳くらいで死んでしまうということだ。
  • こんな状態でも人口は減らなかった(もし少しずつでも減っていたら、それが何百年も続くうちに人口が0になってしまったはずだ)。つまり30歳までに二人の子供を産み、さらに一人で生きていける程度にまで育てることができたということを意味する。もちろん自分の親は死んでしまったけど、他の人の親に育ててもらったという可能性も十分にある。しかしなんにせよ、平均的な一人の親に注目した場合、自分の子であれ他人の子であれ、1人を教育したことに違いはない(両親で2人分)。そうでないと自立できずに死んでしまうのだから。
  • そうすると、30歳程度で、人は一人前になるばかりか、子供を2人産み、しかも2人分を養育するほどの余裕があったということだ。たとえ縄文時代であっても養育の負担はそんなに小さくはない。自分の食べ物を自分で用意できるようになるまでは食べさせなければいけない。病気にならないように気を配らなければいけないし、なったら看病もしないといけない。そして狩りや採集の技術も教えなければいけない。
  • 採集できるようになるのは何歳くらいだろうか。まあ10歳くらいでも教えればできそうな気がする。でも毒のあるものを区別したり、危険な場所に採りに行ったりはしないなどを覚えるのにはそこから最短でも1〜2年くらいはかかりそうな気がする。効率よく教育できる教材があるわけではないのだから。狩りについてはどうだろう。仮に集団で狩りをするとして10歳で何か役に立つだろうか。見張りすら完全にはできない気がする。やはり13歳くらいからが見習いで、15歳くらいでなんとか自分ひとり分の分け前をもらえるくらいには貢献できる、といった感じだろうか。
  • 以上をまとめると、男性に注目した場合、15歳くらいで結婚し、それと同時にどんどん狩りを上達させて養育するだけの余裕を持てるようになって、自分が死ぬまで(30歳くらいまで)に子供を自立させなければいけない。女性も狩りが採集に変わるだけで似たようなものだろう。基本的におじいちゃんやおばあちゃんがいないので、子育てを手伝ってもらうわけには行かない。・・・想像するだけもハードな人生だ。
  • これを考えると人間の成長過程における第二次性徴が10〜12歳くらいでおきるのも納得がいく。これより遅いと成長が終わって安定したころには妊娠するべき時期を過ぎてしまい、自分の寿命以内で子孫を育て通すことができない(=結局死んでしまう)。また早ければいいというものでもない。きっと第二次性徴期には相当なエネルギーが必要だろう。だから大量に食べなければいけない。あまり早くにこの状態になってしまうと親の養育能力を超えてしまい、子が育つ前に一家が全滅しかねない。母の胎内で最初から成長して生まれてくることもできない(胎児が大きくなると出産時に母親もしくは胎児のどちらかがけがをすることになりかねない)。

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  • さて現代はどうだろう。もちろん最終学歴を中学校にするなら、縄文時代の方式にかろうじて当てはまる。また、自分で働きながら学校に行くという手もあるから、この方法でも最終学歴が中学校に限定されるというわけではない。でもまあ、今の日本は大学進学率が50%くらいあるらしいので、とりあえず4年制大学卒を教育の終わりとしてみよう。そうすると22歳で一人前、つまり自立可能ということだ。だから22歳以上の平均寿命は最低でも44歳くらいになっていないといけない。そうでなければこの長い教育時間を維持できず、つまりは知的文明を維持できないことになる。
  • しかし大学時代の友人を見る限り、22歳で結婚するなんてむしろかなり早いほうだ。卒業直後はどちらも結婚には踏み切らず、はたしてこの人が自立してやっていける人なのかどうかを見定めようとしている気がする。というかそもそも自分の自立で精一杯で結婚相手を探す暇がないのかもしれない。仮に転職などをしなければ25歳くらいで見極めがつくだろうか。そうなると、結婚が25歳で子の独立がその後22年だろう。
  • いやいや最初の就職先はあくまでも通過点で3年後に転職するならさらに3年後の28歳で結婚かもしれない。このプランなら転職する代わりに大学院修士課程かもしくは医学部を出ることも可能だ。そうなると28歳以上の平均寿命は50歳以上でなくてはいけない。
  • つまり平均寿命が50歳に満たない国では、おそらく今の日本程度の知的文明を維持するのは不可能である。

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  • 仮に同じ年の男女が結婚するとして、30歳くらいで第一子が生まれるとしたら、何人子供が産めるだろうか。女性には個人差があるものの早い人では40歳ちょっとで閉経してしまうそうだ。つまり残された時間は10年程度で、その間にもう二人産めないと、出生率が2を超えることはない。たまに双子が生まれる可能性もあるだろうけど、それは離婚率や未婚の人がいることを考えると全然追いつかないだろう。
  • うーん、つまり今の出生率を改善するためには、以下のどれかをやらなければいけないということか。そうでないと、もしこの出生率が全世界広がって続くようなら人類は滅亡するか文明レベルを下げるしかない。
    • 教育を効率的にして早く終わらせる。
      • そう簡単にはいかない気がする。というかこれができるのならたとえ出生率の問題がなくてもみんなこぞってやるだろう。
    • 男女の更年期を遅らせるような技術を開発する(その代償として第二次性徴が遅れたとしてもそれは構わない)。
      • これしかないか。
  • なお子供の養育が終わるまでは余裕がないので老親の介護は基本的にはできない。40歳で子供が生まれるとするならその子が22歳になるのは62歳のときだ。つまりわが子が62歳になるまでは親の介護をする暇がない。第一子との年齢差が30歳だとするとわが子から無償の介護をしてもらえるのは92歳からということだ。老人としては放置されて死んでしまうか、もしくは自分の力(年金・貯蓄などを含む)で健康を保ってそれくらいまでは元気でいるしかない。・・・でも貯蓄なんてできるのかな。62歳までは養育で大忙しだし、62歳からは介護で忙しいんでしょ?医学が進歩して平均寿命が大幅に改善し、定年が80歳とかにならない限り、介護を含めた人生設計は無理そうだ。高齢者は見捨てるしかないのかもしれない。というか今の高齢者は第一子を30歳よりずっと前に産んでいるので介護してもらえる可能性があるけど、僕くらいの世代になると絶望的だ。

(4)

  • このままで終わったら絶望的過ぎるのでもう少し考える。
  • 科学技術が現状より大して進歩しないと仮定しよう。この仮定は、これ以上婚期を遅らせることが困難だから、文明のレベルが今よりも格段に上がることはないということだ。そうすると僕たちにできる対策は、更年期が遅い男女を「よい遺伝形質の持ち主」として大事にすることしかない。つまり結婚相手を選ぶ際に、相手の両親の年齢を確認し、また相手の兄弟姉妹の年齢(特に末っ子の年齢)を確認する。両親が高齢出産できているのなら、更年期が遅いのはまず間違いない。もし60歳でも問題なく出産できるような人類になったら、第一子が40歳でも問題ないかもしれない。その成熟した親が子に施せる教育はかなり質が高いだろう。これは期待できる。
  • もしくは単純に若いうちから能力の高い人でもいい。これは短い教育期間のうちに多くを吸収できた証だ。これも「よい遺伝形質の持ち主」だろう。
  • こういうことを心がければ、100世代くらい後には変わってくると思う。世代間の年齢差が30〜40歳だとすると、3千年〜4千年後といったところか。
  • ちなみにうちの家系は・・・だめっぽいなあ。高齢出産ではない気がする。
  • あと、僕としては結婚率を上げるという方法にはあまり感心しない。たとえば40歳までに結婚して二子をもうけなければ罰金100万円、とかいうことはできるだろうし、そうすれば一家庭当たりの子供の数が変わらなくても、出生率は改善するだろう。しかしこれは結婚に当たって選抜が利かなくなり、結果的にあまり優秀ではない子供が大量に生まれる可能性がある。結局離婚するケースも増えるだろう。しかしまあ、人類絶滅の危機が迫ったらそういうことも言ってはいられないかもしれない。人口が1千万人とかになったら、とりあえず出生率が2以上になるまで何でもありだ。もう進化のための選抜とか何とか言っている場合じゃない、それは進化どころか絶滅を招きかねない過剰な選抜だから。

(5)

  • もちろん逆の視点もある。そもそも少子化で人類が滅んではいけないという決まりがあるわけじゃない。人類が滅ぶというと大げさだけど、天皇家が断絶するとか、もしくは自分のうちの家系が途絶えるとかでもいい。それはそれほど重要なことなんだろうか。当人たちが「そうはいってもだからといって結婚したくもないのに無理に結婚させられるなんて嫌だ」と言うのであれば、僕は別に滅んでもいいと思う。本来周囲がとやかく指図するべきことじゃない。それが人類最後の家族に起きたとしても。いえることは断絶しないでくださいとお願いする程度だ。
  • だから上で結婚しなかったら罰金100万円とか書いたけど、本当にあるべき姿は、「滅んで欲しくない」と思う人がその程度に応じてお金を自発的に払って、そのお金を日本中(もしくは世界中)の子供の親に、子供の数に比例して払えばいい。つまり、子供をたくさん産んだらもうそれだけで仕事しなくても食べていけるくらいに。これは所得の低い家庭を助けるためじゃないので、お金持ちであっても受け取れる(お金持ちは有能な人である可能性(もしくは先祖が有能であった可能性)が平均よりは高い気がするので、そういう遺伝子が世に残るのはむしろ歓迎されるだろう)。絶滅してもいいと思っている人は一円も払わない。これで誰も不満がない。これだと資金不足で絶滅を免れないかもしれないが、それは絶滅を望まない人が少ないかもしくはそれぞれが絶滅阻止に投じるお金が少ないからなので、筋の通った結果だ。

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Last-modified: 2008-10-21 (火) 13:21:34 (4999d)