熱血教師のワナ

  • (by K, 2007.06.01)
  • 最大の目的は、自分への戒めとして。
  • 次いで、他の人たちの参考に。

(0)

  • NHKの番組で、ある中学教師が生徒指導をしていた。クラスで一人だけみんなと溶け込もうとしない生徒がいた。授業もほとんど全部サボる。学級会にも出ない(「どうでもいいから、みんなで勝手に決めて」と言い残して)。
  • この教師は熱い情熱を持って、この生徒をクラスに溶け込ませようとする。授業に出るように説得したり、なかよくしようとしないほかの生徒たちをしかったり(仲良くしようとしないだけであって、無視しているとか、いじめているわけではない)。・・・何週間もこの生徒は、先生のこのような態度を疎ましく感じている。しかし年度末には少しは溶け込めるようになった。そういう番組だった。

(1)

  • 番組としては、この教師はいい教師であり、いい人間なのだろう。僕はそこに疑問を感じる。この番組の本当の主役は生徒たちだ。この教師がやっていることは、めちゃくちゃである。結果的にうまくいったからいいものの、幸運でなければ状況をさらに悪化させたと思う。悪化しないで済んだのは、ひとえに溶け込めなかった生徒とクラスのほかの生徒の努力というか忍耐のおかげであって、この教師のおかげではない。そしてそんな教師の行為を肯定的に放送したこの番組は、よくない番組だったと思う。この教師を手本にするべきではない。・・・いや今はみんな僕のこの言い分には同意できないかもしれない。しかし100年後、200年後になって世間がもっと賢くなれば、僕の言い分のほうがもっともだと言ってもらえると確信している。
  • 生徒の立場で考えてみよう。なぜ溶け込まないといけないのだ。「この大事な1度しかない中学2年生のこの時期に、こんな状態でいいの?よくないでしょ?」みたいな発言によって、先生は自分の行為を正当化しているというか、自己陶酔しているように見えたけど、これはおかしいと思う。仲良くしたいと思っていないかもしれないじゃないか。「心を閉ざしている」とナレーションは言っていた。僕にもそう見えた。でも、無理に心をこじ開けるようなこんな方法でいいのか?この生徒は心を閉じていたかったのかもしれない。
  • 「この先生は、こんな自分を無視しないでくれている、一人ぼっちじゃないんだ」ということは間接的に伝わるかもしれないが、しかし自分の気持ちは無視されていることに気づいたらおしまいだ。先生は先生の良かれと思うことを一方的に押し付けて洗脳しようとしているに過ぎない。
  • 僕が考えるよりよい方法は、どうしたいのかを聞くことだ。授業に出たくないのなら出なければいい。出たほうが面白いかもしれない。でもそれは僕たちの印象であって、悩んでいる生徒がそう思うはずだと決め付けて発言するなんて僕には耐え難い。心配していることに気づいてもらって、孤独感を少しでもやわらげたいと思うのなら、直接「学校にきても来なくてもいいから、先生とお話してほしい。おせっかいかもしれないし、あなたはいやかもしれないけど、僕はそうしたい。好きなんだもん。だからお願い!毎日じゃなくてもいいから、話をする時間を作って。そしていろいろ教えて。」というしかない。
  • 僕は授業に出たらこんなにいいことがあると思うからおすすめだよ、とはいうけど、でなきゃいけないとか、でるべきだとか、人間としてどうだとか、普通はでるものだ、みたいなことはいわない。あとは自分が授業に出て楽しかったときのことを言うくらいしかない。それを卒業or退学まで続けてそれでも最後まで気乗りしないのであれば、僕はあきらめる。・・・仮に「今高圧的に洗脳してしまえばきっと登校してくれるようになるだろう、そしてそうしているうちに学校生活が楽しくなってくるだろう」と思っても、僕はやらない。両親がそうしてほしいと願ってもやらない。僕は自分の考えを押し付けるよりは、生徒自身が授業に出たくはない理由をもっとよく知りたい。「僕は出たらこんなに楽しいと思う。」「いや違うよ先生、出たらこんなにいやなことがあるよ、これは耐え難いよ」みたいに。僕はどんなに捻じ曲がっているように思えても、とにかく本人の意向を尊重したい。それこそ本当に「生徒のためを思っている」ということなんだと思う。自分が理解できないから勝手に相手の思いは劣っていると決め付けて、洗脳しようとするなんて、全然生徒思いには見えない。生徒思いのフリをしているだけだ。
  • 問題の生徒が授業から出て行くときに、他の生徒がその生徒を引きとめようとしなかったことを先生が嘆くのもどうかと思う。相手の意思を尊重しようとしたかもしれないじゃないか。・・・まあ、それならそれで生徒たちは先生の嘆きをさえぎって、「仲間なんだから引き止めるべきだったという先生の意見に僕は賛成できません!」と断固言うべきなんだけど。

(2)

  • 結局、この教師は自分のやったことに後悔はしていないのだろう。この番組を作った人もそうなのだろう。おそらく理想の教師をみたんだろう。・・・これが無条件に肯定され続けているうちは、大きな進歩は無いような気がする。

こめんと欄


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Last-modified: 2007-06-01 (金) 23:07:09 (5547d)