* 原油高・食料品高はヘッジファンドのせいということにして儲かったのは誰か?
 -(by [[K]], 2008.07.13)
 *** (0)
 -原油や食料品の価格が上がっているのはヘッジファンドが悪いみたいにいうのが、ここ数年のマスコミのほぼ一致した主張だが、それは大きな誤認であるというのが僕のかねてからの主張である。
 -このミスリードによって誰が得をし誰が損をしたのかを考えてみた。
 -関連:[[boyaki_a/00072]]
 *** (1)
 -僕の持論では、高騰の理由は実に単純で、需要と供給のバランスが崩れているから一方的に上がっているのだ。ヘッジファンドだって将来供給過多になると予想していたら、わざわざそんなものを先物で買ったりしない。そんなことしたらわざと大損するようなものだ。そこまでバカじゃない。
 -だからもしガソリンの値下げを願うのなら、ガソリンの使用を控えるしかない(もし日本が産油国であれば、もっと掘ればいい、とも言えたのだけど)。つまり需要を減らす。農作物についても同じだ。食べ物は多く買いすぎて残したりはしないようにする。そして、もし機会があれば、農家への転職を積極的に検討する。
 -早くからこうしていれば、今頃こんな値段にはなっていなかったと僕は思う。
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 -にもかかわらず、マスコミはこの事実を隠し、ヘッジファンドだの投機マネーだのという言葉を持ち出して、「世界中のお金持ち」が国際市場をおもちゃにして、それでわれわれ庶民がとばっちりを受けている、という説明をした。そしてこの説明は庶民にウケた。きっと格差問題とかで、たとえ事実に合っていないとしても、社会問題を金持ちのせいに出来れば気が晴れたのだろう。バカなことだ。
 -この報道によってどうなったのかというと、僕たち庶民は無力だと誤解した。つまり、ガソリンが高騰しても耐えるしかない、食料品が高騰しても耐えるしかない、と。消費を控えるとか、農家に転職するとかの、効果のある選択肢を検討しようとしなかった。お金持ちのマネーゲームのせいなんだから、自分たちが何をやっても無駄だと思ってしまった。そしてそんな原因であればこんなのはそのうち終わるとも思った。・・・だから結局何も事態は改善せずに、より高騰した。
 -これによって得をしたのは誰だろう。まずはマスコミだろう。自分たちも被害者だという顔をしながら「どうする原油高騰!」みたいな番組を作って視聴率を稼げる。このネタで何回稼いだか知れない。
 -しかしもっと得をしたのは、悪人呼ばわりされたヘッジファンドであろう。原因を誤認し有効な対策を誰もとろうとしないのなら、高騰がとまる理由は無い。将来の値上がりはよりいっそう確実だ。だからじゃんじゃん原油先物を買えばいい。それだけで儲かる。
 -じゃあ誰が損をしただろう。それは原油や食料品価格が上がって困る僕たちだ。
 -しかしこれは結局自業自得だ。マスコミの言うことを鵜呑みにして、ろくに考えずにいたから損をした。原油高騰を予想していたヘッジファンドたちは、自分たちが原因だとは思っていなかったので、自分たちが批判の対象になって対策が出てくるかもしれないと思っても(取引規制とか)、原油先物を手放そうとはしなかった。そして彼らは正しかったので利益を得た。それだけのことだ。
 -きっと世の中には僕より前にこの問題に気付いて、さっさと農業に転職した人もいるだろう。大豆やトウモロコシを作っていれば、最近の高騰でよりいっそう収入が増えただろう。この人たちも正しかったので利益を得たのだ。それだけのことなのだ。
 *** (2)
 -世の中には学歴が大事とか、数学の難しい問題が解けるかどうかが重要とかいう人が少なくないけど、そんなことはたいてい一円にもならない。むしろ上記のような簡単な問題に他人より早く気付くだけで、それだけで生活は豊かになるのだ(少なくとも他人より早く節約生活を始めることで、他人よりも損を小さくできたことは間違いない)。本当に頭がいいというのは、こういうことをいうのだと僕は信じているし、僕はそうありたい。
 * こめんと欄
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