boyaki_a/00134
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20212021
* 生命から学べること(1) -(by [[K]], 2008.11.13) *** (0) -タイトルに注意してほしい。あくまでも「学べること」であって「学ぶべきこと」ではない。つまり僕は何かを強要するつもりはない。 -今回は増殖について書く。次回は多細胞生物について書く予定。 *** (1) -生命の定義は人によっていろいろだけど、ここでは「自己増殖が可能なもの」ということにしよう。自己増殖が自力で成し遂げられる必要は必ずしもなく、何かに寄生するという方法でもいいだろう。また分裂によって増殖する場合、そのままではどちらも大きさが減ってしまうので、自己増殖というからにはもとの大きさに戻るために食物を食べて成長しなければいけない。だからこの規定だけで、たぶん大方の生命はすべて含められると思う。 *** (2) -生命が自己増殖する方法はいろいろある。ここでは、こういう風に進化したんじゃないかと僕が思っている順に書いてみる。 ---- -もっとも単純な自己増殖法は、アメーバの細胞分裂のような方法だと思う。メスもオスもなく、基本的に自分と同じものを作る。この手の生物は遺伝子がリング状になっていて(もちろん通常はコンパクトにするためにくちゃくちゃに丸められてはいるが、それを丁寧にほどいた場合の話をしている)、端がなく、基本的にコピーも元と同じものができる。もちろんたまにコピーに失敗する。そのおかげで分裂したものが死ぬこともあるが、たまに進化もする。 -性別のない生命の場合、栄養さえあれば、いつだって増殖できる。結婚相手を探す必要なんてない。 -他にもまだいろいろ言いたいことはあるが、それは先に進まないと違いが分かりにくいと思うので、後で書くことにしよう。 ---- -次の自己増殖方法は、ゾウリムシのような方法だろう。彼らはアメーバのような普通の増殖もできるが、それに加えて、なんと他のゾウリムシから遺伝情報を半分ずつ交換し合って生殖することも可能なのである。そしてどうやらゾウリムシにはメスやオスなどという性別がなく(もしかしたらあるのかもしれないけど、そのような記述を見つけられないので、多分ないのだろう)、つまり相手は誰でもいいのである。 -これはかなり優れた方法だといえる。周囲にゾウリムシがいないときは、通常通りに、とにかく食べてとにかく増えればいい。そして栄養も豊富でかつ相手がいたら、遺伝情報を交換し合って、進化すればいい。 ---- -ここで遺伝情報の交換の意義について書こうと思う。 -例を分かりやすくするためにゾウリムシから離れるが、たとえば美人だけど病弱な女性とブサイクだけど病気に強い男性がいたとする。ここでは遺伝因子を非常に単純化して、容姿と健康状態の2因子しかないとしよう(本当は容姿一つとっても大量の遺伝因子によって規定されるが、今回はそれらはたった一つの因子で決まるとする)。彼らが結婚して子供が生まれると、以下の2タイプがありうる。 --美人で健康 --ブサイクで不健康 -もっと厳密にやると二倍体とか優性とか劣性とかがあっていろいろ面倒なんだけれども、とにかく両親から半分ずつもらうというのは絶対で、そうなれば、半分の因子は片親からもらえるけど、もう半分は別の親からもらわなければいけないのだ。つまりこの時点で、どちらかの親の完全なコピーは絶対にできないルールだとわかる(例外としては、通常分裂で増殖したゾウリムシ同士が遺伝子の交換をやった場合は、結局何も変わらずに完全なコピーになることがありうる)。 -ここで僕が指摘したいのは、遺伝子の交換というのは、なにも遺伝情報のコピーミスなんかがなくても(コピーミスはなかなか起きないので進化に時間がかかる)、進化が可能だということである。それが「美人で健康」のパターンだ(まあ美人化が進化に相当するかどうかは微妙だけど)。しかしこれは結局「いいとこどり」でしかなく、現在出回っている(?)因子のうちからいいものを集めるのがやっとだ。新しい因子が必要ならそれはやはりコピーミスを待たなければいけない。 -しかしここで注目すべきは、この遺伝子交換方法だと「悪いとこどり」もありえてしまう。そうならないようにする仕組みなど何もない。で、不幸にもそうなってしまった場合はどうすればいいのかというと、結局は淘汰で滅ぼされる。だから同じ兄弟姉妹でも、あるものはその後大繁栄するのに、あるものはあっけなく死んでしまうかもしれないのだ。 -遺伝子の交換さえしなければ、どちらの子供も「一長一短」で済んだはずなのだ。人類皆平等、みたいな感じなのだ。しかし遺伝子の交換をしたがために(後述のように人間では遺伝子交換は必須で避けられない)、「二長〇短」と「〇長二短」のまことに不公平な結果になるのだ。これは遺伝上の格差だと言ってもいいだろう。・・・しかしいわゆる世間で言うところの格差とは違い、お金持ちの家に生まれたからどうこうではなく、たとえ同じ親から生まれて同じ家庭に育っても、それでも劣っているものは劣っているのだ。もちろん努力でその差を越えることもできるかもしれない、その差があまり大きくなければ。 ---- -しかしなぜこんな仕組みにしたのか。したというかなったのか。じゃあ他の可能性を検討してみよう。 -たとえばこんなのはどうだろう。両親からどちらか一つを選んでもらうのではなく、一つずつ両方もらうというのは。これだと、何も失わなくていいではないか。問題があるとすれば遺伝子が二倍になって扱いが厄介だというくらいか。まあそれでもこの問題は何とか解決できるとしよう。しかしそうだとしても、これは問題がある。先の例でいくと、この子供は美人とブサイクの中間の容姿で、かつ、病弱と健康の中間の体質だということになる。そして兄弟姉妹での格差もない。極めて安定だ。そして世代を経るごとに遺伝的に均一化され、多くの特徴が平均的になり、個性がなくなる。これは間違いなく平等である。 -でも考えてみてほしい、そんな中途半端な子孫は果たしてその後の生存競争でやっていけるだろうか。人間同士ならいいかもしれないが、他の生物に勝てるのか?もし他の生物がこんな平均化遺伝ではなく、「いいとこどり」「悪いとこどり」可能な遺伝方法にしていたら?・・・きっと平均化のすべてとたまに生まれる「悪いとこどり」は生存競争で敗北し、「いいとこどり」だけが繁栄するだろう(そうやって遺伝子のうちの悪い因子は徐々に勢力を弱めて、最後にはなくなる)。この理由により、今の生命界での遺伝子交換方法の主流は、両親からそれぞれの因子についてどちらか一つを選んでもらうという方式なのだと思う。 -ここから一つ目の教訓を出すと、なんでも足せばいいわけじゃないということだと思う。既存の複数のものを組み合わせるのはいい結果になることが多いが、しかしあえて上限を設けて、それを超えている場合は要素をカットしたほうがいい。これはたぶんソフトウェアのバージョンアップに伴う機能追加とか、ビデオの機能とか、法律の条文とか、まあなんでもだ。このカットしていく行為がなければ、規模ばかりが大きくなり、スペック的にはなんでもできるが使い方が分からなくてなにもできないとか、どんな犯罪も裁けるけど市民には理解できず弁護士の手にも負えないとか、そういう結果になるだろう。 ---- -またこの遺伝方法の場合、たくさん生まれてたくさん死ぬと一番効率がいい。というのは、たくさんの組み合わせが登場して競争すれば最強の組み合わせが生まれて生き残るだろうから。もし少数しか生まれなければ、不運にも「悪いとこどり」した子供しか生まれなかった家族の場合(少子だとそういう可能性が上がる)、両親が持っていたいい因子は結局後世に残せずに、悪い因子だけが残ることになりかねない。こんな結果になるくらいなら、遺伝子の掛け合わせなんかしないで、アメーバのように自分のクローンを作っているだけのほうがいいくらいだ。 -またたくさん生まれたからにはたくさん死ぬことも重要だ。もし生まれた子供を全部生かそうとすれば、というか何の優劣もないようにすれば、結局悪い因子もいい因子も同じ確率で子孫を残していくことになり、適者生存がまったく機能しない。そんなぬるいことをしていると、他の生物の進化に追い抜かれて、最後は結局全員滅ぼされるしかない。もちろん食べ物や住むところに余裕があるうちは無理に淘汰する必要はないだろう。しかし、増え続ければいつかは余裕がなくなるし、余裕がなくなれば淘汰するべきなのだ。そしてその場合は、さいころを振って平等に淘汰される人を選ぶのではなく、なんらかの方法で遺伝の優劣を判定するべきなのだ(単に経済活動への適合率(=かねもち)でもいい・・・さいころよりは)。 --まあさいころで淘汰していけば、運の強い種族になれるかもしれない。運なるものが存在し、それを制御できる遺伝子が存在すればの話だが(僕は運などというものがあるとは微塵も思っていない。でも思う人もいる。そういう人は自分の子孫にさいころを振って家督を継がせるという家訓を残せば、100世代後くらいで進化があるかもしれないから、やってみればいいかもしれない。もちろん僕はやらない)。 -淘汰なんてかわいそう、だからしなくてもいいくらいにしか子供が生まれなければいい、という考え方はもちろんありだが、その結末はやっぱりただの少子化であって、いい因子と悪い因子の残りやすさに差がなくなり、最後は結局全員滅ぼされるしかない。ライバルの進化が始まったらそのたびに一致団結してその種を絶滅させればいい、と考えることはできる。それで当面はうまくいくかもしれない。しかしどこかの国が鎖国体制になりこっそりと淘汰する仕組みを導入し、そうなって100世代も経れば、たぶん体力も頭脳も相当差が付くだろう。そして鎖国を解いて戦えばまず負けない。ただの鎖国程度では100世代も隠せないと思うのなら、月とか火星とか移住してやってもいい。もっと目立たない星がよければ大量にある小惑星でもいい。とにかくそういうことはできるし、やれば淘汰を避け続けた種族に勝ち目はない。未来は淘汰を受け入れた種族だけのものだ。 -さてこの辺でもう一ついえることは、やはりソフトウェアでも企業でも法律でも国家であっても、とにかくたくさん作ってたくさん滅ぶというのがいいのではないということだ。もちろんこの推論が通用しない対象物だってあるかもしれないが、しかし僕はほとんどすべてのものがたくさん生まれて競争してたくさん滅ぶような仕組みさえ作れば、ほかにたいした仕組みがなくても自然に進歩が得られると信じるし、この仕組みにさらされずにきたものは、淘汰で勝ち残ったものにはまったく太刀打ちできないだろうと思う。 ---- -ゾウリムシの話で長くなった。先に進もう。次は花などに見られるタイプの増殖方法がある。花もメスとオスがある。いわゆるおしべとめしべだ。しかしこれらは株によってどちらの花が咲くか決まっているのではなく(キウイフルーツなど、決まっているタイプもある)、一つの株から両方の花が咲く。もしくは一つの花の中におしべとめしべの両方がある。また多くの花は自家受粉も可能で、つまり自分の花粉が自分のめしべに付くだけでも種ができる。これはつまり、他人の花粉がもらえなかったら、自分の花粉で受粉してもいい事にしようということなんだと思う。花は自分からは動けないから、こういう保険も必要だったのかもしれない。それとも、単に自分の花粉を拒絶する仕組みを持たせるコストが割に合わなかっただけなのかもしれない。ちなみに自家受粉できない種族もあるし、自家受粉しかしない種族もある。 -動物の世界でも、植物のように一個体がメスにもオスにもなるというタイプが少数あるが(年齢で変わるとか)、多くはメスは一生メスだし、オスは一生オスだ。まずはミジンコを取り上げようと思う。ミジンコはメスだけでも子供を産むことができる。その場合は当然クローンだ。そしてオスとの交配もできる。この状態を極論すれば、メスは純粋な生命であるが、オスは純粋な生命ではない。というのは、メスは間違いなく自己増殖能力を持っているといえるが、オスはメスがいないと自己増殖(自分の遺伝子を半分もった子孫)を残せないからである。オスはメスに寄生しないと増殖できないのだ。 -僕はこれをこう考えている。まずはメスしかいなかった。メスは当然一人でもクローンで生きていけた。しかし遺伝子を交換したくなった。というのは、交換するようになると進化が劇的に速くなるからである。さて、メスは最初はゾウリムシのように自分で遺伝子を交換していた。しかし交換相手を探すのが面倒になったかのかなんだかわからないけど、とにかく遺伝子を受け渡すだけの役目を持った運び屋も作ることにした。これが元祖オスだと思う。遺伝子さえ渡せればいいので、はっきりいって人間からアリくらいの大きさのオスがうまれてもいいのだけれども、これだと受け取る側のメスにとっては、いい遺伝子なのかどうかが全然分からない。それなら見本があったほうがいい。だからオスもメスによく似た構造になった。まあ見本というのは下等な生物では分からないかもしれないので説得力がないが、そもそも遺伝子の中に人間とアリなどという二種類の生物の遺伝子を入れておくのはあまり効率的ではない。むしろいろいろ共通化できたほうが合理的だ。それでオスはかなりメスに近い形になったのだと思う。 -共通化してしまうと、メス並にオスも食べるようになり、はっきりいって邪魔なのだが、しかしこれは持っている遺伝子がいいかどうかを判断する上では役に立つ。悪い遺伝子を持ったメスもオスも淘汰で消えるのだ。遺伝子がいいか悪いかを決めるのは、やはり同じ方法で比較するのが一番だから、オスがメスに似ておなじ淘汰圧力にさらされるのはいい方法だと思う。 -こうしてオスが定着したものの、たとえばカマキリなどでは、交尾のあとにオスはメスに食べられてしまう。つまりメスのパシリでしかないのだ。しかもオスは小さい。運び屋に特化した形が残っているのだと思う。また別の動物では、オスはオス固有の役割を持っている。原始人だと、狩りをするとか。これはせっかく二種類の人間を産み分けることになったのだから、どうせなら適当に役割分担してそれぞれに特化したほうが効率がいいということなのだろう。 -そして脊椎動物では、どうやらメスは単独でクローンを生む能力を失っているものしかいないように思う。こうなるとメスの優位性はなくなっている。相互に相手がいないと生命としての機能が果たせない共生関係になったといえる。これはどうしてなのだろうか。自分のクローンを作る機能を省略した種だけがたまたま生き残っただけなのか。それともクローン方式では結局進化が遅いだけなので、半ば強制的に交配方式を選択させることで進化を速めたのか。 *** (3) 補足 -少子化で淘汰が完全に回避される場合に、僕は進化がなくなると書いた。しかしこれは遺伝子のコピーミスによる突然変異がなかった場合の話だ。実際はたまにコピーミスは起こる。しかもコピーミスはランダムに起こる過程で、進化に相当する歓迎すべき変化が起こる可能性よりも、退化や悪い因子に相当する歓迎しない変化が起きる可能性のほうが高い。だから淘汰圧力がなくなると、いい因子が増えるよりも悪い因子が増えるほうが速くて、結局種族全体の平均値は、横ばいどころか徐々に下がっていくのかもしれない。そうなると、外敵の存在を想定するまでもなく、長い目で見れば絶滅は免(まぬが)れない。 -[2008.11.15追記] 少子化でも滅亡を回避する簡単な方法があることを忘れていた。交配を、単なるランダムではなく意図的に制御すればいいのだ。両親からいいほうの遺伝子だけをもらうようにしたらいい。どちらがいいのか分からないことがあるだろうから、そういうときはランダムでいいけど、明らかに悪いと分かっている因子は避けるくらいのことは必要だ。 * こめんと欄 #comment
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* 生命から学べること(1) -(by [[K]], 2008.11.13) *** (0) -タイトルに注意してほしい。あくまでも「学べること」であって「学ぶべきこと」ではない。つまり僕は何かを強要するつもりはない。 -今回は増殖について書く。次回は多細胞生物について書く予定。 *** (1) -生命の定義は人によっていろいろだけど、ここでは「自己増殖が可能なもの」ということにしよう。自己増殖が自力で成し遂げられる必要は必ずしもなく、何かに寄生するという方法でもいいだろう。また分裂によって増殖する場合、そのままではどちらも大きさが減ってしまうので、自己増殖というからにはもとの大きさに戻るために食物を食べて成長しなければいけない。だからこの規定だけで、たぶん大方の生命はすべて含められると思う。 *** (2) -生命が自己増殖する方法はいろいろある。ここでは、こういう風に進化したんじゃないかと僕が思っている順に書いてみる。 ---- -もっとも単純な自己増殖法は、アメーバの細胞分裂のような方法だと思う。メスもオスもなく、基本的に自分と同じものを作る。この手の生物は遺伝子がリング状になっていて(もちろん通常はコンパクトにするためにくちゃくちゃに丸められてはいるが、それを丁寧にほどいた場合の話をしている)、端がなく、基本的にコピーも元と同じものができる。もちろんたまにコピーに失敗する。そのおかげで分裂したものが死ぬこともあるが、たまに進化もする。 -性別のない生命の場合、栄養さえあれば、いつだって増殖できる。結婚相手を探す必要なんてない。 -他にもまだいろいろ言いたいことはあるが、それは先に進まないと違いが分かりにくいと思うので、後で書くことにしよう。 ---- -次の自己増殖方法は、ゾウリムシのような方法だろう。彼らはアメーバのような普通の増殖もできるが、それに加えて、なんと他のゾウリムシから遺伝情報を半分ずつ交換し合って生殖することも可能なのである。そしてどうやらゾウリムシにはメスやオスなどという性別がなく(もしかしたらあるのかもしれないけど、そのような記述を見つけられないので、多分ないのだろう)、つまり相手は誰でもいいのである。 -これはかなり優れた方法だといえる。周囲にゾウリムシがいないときは、通常通りに、とにかく食べてとにかく増えればいい。そして栄養も豊富でかつ相手がいたら、遺伝情報を交換し合って、進化すればいい。 ---- -ここで遺伝情報の交換の意義について書こうと思う。 -例を分かりやすくするためにゾウリムシから離れるが、たとえば美人だけど病弱な女性とブサイクだけど病気に強い男性がいたとする。ここでは遺伝因子を非常に単純化して、容姿と健康状態の2因子しかないとしよう(本当は容姿一つとっても大量の遺伝因子によって規定されるが、今回はそれらはたった一つの因子で決まるとする)。彼らが結婚して子供が生まれると、以下の2タイプがありうる。 --美人で健康 --ブサイクで不健康 -もっと厳密にやると二倍体とか優性とか劣性とかがあっていろいろ面倒なんだけれども、とにかく両親から半分ずつもらうというのは絶対で、そうなれば、半分の因子は片親からもらえるけど、もう半分は別の親からもらわなければいけないのだ。つまりこの時点で、どちらかの親の完全なコピーは絶対にできないルールだとわかる(例外としては、通常分裂で増殖したゾウリムシ同士が遺伝子の交換をやった場合は、結局何も変わらずに完全なコピーになることがありうる)。 -ここで僕が指摘したいのは、遺伝子の交換というのは、なにも遺伝情報のコピーミスなんかがなくても(コピーミスはなかなか起きないので進化に時間がかかる)、進化が可能だということである。それが「美人で健康」のパターンだ(まあ美人化が進化に相当するかどうかは微妙だけど)。しかしこれは結局「いいとこどり」でしかなく、現在出回っている(?)因子のうちからいいものを集めるのがやっとだ。新しい因子が必要ならそれはやはりコピーミスを待たなければいけない。 -しかしここで注目すべきは、この遺伝子交換方法だと「悪いとこどり」もありえてしまう。そうならないようにする仕組みなど何もない。で、不幸にもそうなってしまった場合はどうすればいいのかというと、結局は淘汰で滅ぼされる。だから同じ兄弟姉妹でも、あるものはその後大繁栄するのに、あるものはあっけなく死んでしまうかもしれないのだ。 -遺伝子の交換さえしなければ、どちらの子供も「一長一短」で済んだはずなのだ。人類皆平等、みたいな感じなのだ。しかし遺伝子の交換をしたがために(後述のように人間では遺伝子交換は必須で避けられない)、「二長〇短」と「〇長二短」のまことに不公平な結果になるのだ。これは遺伝上の格差だと言ってもいいだろう。・・・しかしいわゆる世間で言うところの格差とは違い、お金持ちの家に生まれたからどうこうではなく、たとえ同じ親から生まれて同じ家庭に育っても、それでも劣っているものは劣っているのだ。もちろん努力でその差を越えることもできるかもしれない、その差があまり大きくなければ。 ---- -しかしなぜこんな仕組みにしたのか。したというかなったのか。じゃあ他の可能性を検討してみよう。 -たとえばこんなのはどうだろう。両親からどちらか一つを選んでもらうのではなく、一つずつ両方もらうというのは。これだと、何も失わなくていいではないか。問題があるとすれば遺伝子が二倍になって扱いが厄介だというくらいか。まあそれでもこの問題は何とか解決できるとしよう。しかしそうだとしても、これは問題がある。先の例でいくと、この子供は美人とブサイクの中間の容姿で、かつ、病弱と健康の中間の体質だということになる。そして兄弟姉妹での格差もない。極めて安定だ。そして世代を経るごとに遺伝的に均一化され、多くの特徴が平均的になり、個性がなくなる。これは間違いなく平等である。 -でも考えてみてほしい、そんな中途半端な子孫は果たしてその後の生存競争でやっていけるだろうか。人間同士ならいいかもしれないが、他の生物に勝てるのか?もし他の生物がこんな平均化遺伝ではなく、「いいとこどり」「悪いとこどり」可能な遺伝方法にしていたら?・・・きっと平均化のすべてとたまに生まれる「悪いとこどり」は生存競争で敗北し、「いいとこどり」だけが繁栄するだろう(そうやって遺伝子のうちの悪い因子は徐々に勢力を弱めて、最後にはなくなる)。この理由により、今の生命界での遺伝子交換方法の主流は、両親からそれぞれの因子についてどちらか一つを選んでもらうという方式なのだと思う。 -ここから一つ目の教訓を出すと、なんでも足せばいいわけじゃないということだと思う。既存の複数のものを組み合わせるのはいい結果になることが多いが、しかしあえて上限を設けて、それを超えている場合は要素をカットしたほうがいい。これはたぶんソフトウェアのバージョンアップに伴う機能追加とか、ビデオの機能とか、法律の条文とか、まあなんでもだ。このカットしていく行為がなければ、規模ばかりが大きくなり、スペック的にはなんでもできるが使い方が分からなくてなにもできないとか、どんな犯罪も裁けるけど市民には理解できず弁護士の手にも負えないとか、そういう結果になるだろう。 ---- -またこの遺伝方法の場合、たくさん生まれてたくさん死ぬと一番効率がいい。というのは、たくさんの組み合わせが登場して競争すれば最強の組み合わせが生まれて生き残るだろうから。もし少数しか生まれなければ、不運にも「悪いとこどり」した子供しか生まれなかった家族の場合(少子だとそういう可能性が上がる)、両親が持っていたいい因子は結局後世に残せずに、悪い因子だけが残ることになりかねない。こんな結果になるくらいなら、遺伝子の掛け合わせなんかしないで、アメーバのように自分のクローンを作っているだけのほうがいいくらいだ。 -またたくさん生まれたからにはたくさん死ぬことも重要だ。もし生まれた子供を全部生かそうとすれば、というか何の優劣もないようにすれば、結局悪い因子もいい因子も同じ確率で子孫を残していくことになり、適者生存がまったく機能しない。そんなぬるいことをしていると、他の生物の進化に追い抜かれて、最後は結局全員滅ぼされるしかない。もちろん食べ物や住むところに余裕があるうちは無理に淘汰する必要はないだろう。しかし、増え続ければいつかは余裕がなくなるし、余裕がなくなれば淘汰するべきなのだ。そしてその場合は、さいころを振って平等に淘汰される人を選ぶのではなく、なんらかの方法で遺伝の優劣を判定するべきなのだ(単に経済活動への適合率(=かねもち)でもいい・・・さいころよりは)。 --まあさいころで淘汰していけば、運の強い種族になれるかもしれない。運なるものが存在し、それを制御できる遺伝子が存在すればの話だが(僕は運などというものがあるとは微塵も思っていない。でも思う人もいる。そういう人は自分の子孫にさいころを振って家督を継がせるという家訓を残せば、100世代後くらいで進化があるかもしれないから、やってみればいいかもしれない。もちろん僕はやらない)。 -淘汰なんてかわいそう、だからしなくてもいいくらいにしか子供が生まれなければいい、という考え方はもちろんありだが、その結末はやっぱりただの少子化であって、いい因子と悪い因子の残りやすさに差がなくなり、最後は結局全員滅ぼされるしかない。ライバルの進化が始まったらそのたびに一致団結してその種を絶滅させればいい、と考えることはできる。それで当面はうまくいくかもしれない。しかしどこかの国が鎖国体制になりこっそりと淘汰する仕組みを導入し、そうなって100世代も経れば、たぶん体力も頭脳も相当差が付くだろう。そして鎖国を解いて戦えばまず負けない。ただの鎖国程度では100世代も隠せないと思うのなら、月とか火星とか移住してやってもいい。もっと目立たない星がよければ大量にある小惑星でもいい。とにかくそういうことはできるし、やれば淘汰を避け続けた種族に勝ち目はない。未来は淘汰を受け入れた種族だけのものだ。 -さてこの辺でもう一ついえることは、やはりソフトウェアでも企業でも法律でも国家であっても、とにかくたくさん作ってたくさん滅ぶというのがいいのではないということだ。もちろんこの推論が通用しない対象物だってあるかもしれないが、しかし僕はほとんどすべてのものがたくさん生まれて競争してたくさん滅ぶような仕組みさえ作れば、ほかにたいした仕組みがなくても自然に進歩が得られると信じるし、この仕組みにさらされずにきたものは、淘汰で勝ち残ったものにはまったく太刀打ちできないだろうと思う。 ---- -ゾウリムシの話で長くなった。先に進もう。次は花などに見られるタイプの増殖方法がある。花もメスとオスがある。いわゆるおしべとめしべだ。しかしこれらは株によってどちらの花が咲くか決まっているのではなく(キウイフルーツなど、決まっているタイプもある)、一つの株から両方の花が咲く。もしくは一つの花の中におしべとめしべの両方がある。また多くの花は自家受粉も可能で、つまり自分の花粉が自分のめしべに付くだけでも種ができる。これはつまり、他人の花粉がもらえなかったら、自分の花粉で受粉してもいい事にしようということなんだと思う。花は自分からは動けないから、こういう保険も必要だったのかもしれない。それとも、単に自分の花粉を拒絶する仕組みを持たせるコストが割に合わなかっただけなのかもしれない。ちなみに自家受粉できない種族もあるし、自家受粉しかしない種族もある。 -動物の世界でも、植物のように一個体がメスにもオスにもなるというタイプが少数あるが(年齢で変わるとか)、多くはメスは一生メスだし、オスは一生オスだ。まずはミジンコを取り上げようと思う。ミジンコはメスだけでも子供を産むことができる。その場合は当然クローンだ。そしてオスとの交配もできる。この状態を極論すれば、メスは純粋な生命であるが、オスは純粋な生命ではない。というのは、メスは間違いなく自己増殖能力を持っているといえるが、オスはメスがいないと自己増殖(自分の遺伝子を半分もった子孫)を残せないからである。オスはメスに寄生しないと増殖できないのだ。 -僕はこれをこう考えている。まずはメスしかいなかった。メスは当然一人でもクローンで生きていけた。しかし遺伝子を交換したくなった。というのは、交換するようになると進化が劇的に速くなるからである。さて、メスは最初はゾウリムシのように自分で遺伝子を交換していた。しかし交換相手を探すのが面倒になったかのかなんだかわからないけど、とにかく遺伝子を受け渡すだけの役目を持った運び屋も作ることにした。これが元祖オスだと思う。遺伝子さえ渡せればいいので、はっきりいって人間からアリくらいの大きさのオスがうまれてもいいのだけれども、これだと受け取る側のメスにとっては、いい遺伝子なのかどうかが全然分からない。それなら見本があったほうがいい。だからオスもメスによく似た構造になった。まあ見本というのは下等な生物では分からないかもしれないので説得力がないが、そもそも遺伝子の中に人間とアリなどという二種類の生物の遺伝子を入れておくのはあまり効率的ではない。むしろいろいろ共通化できたほうが合理的だ。それでオスはかなりメスに近い形になったのだと思う。 -共通化してしまうと、メス並にオスも食べるようになり、はっきりいって邪魔なのだが、しかしこれは持っている遺伝子がいいかどうかを判断する上では役に立つ。悪い遺伝子を持ったメスもオスも淘汰で消えるのだ。遺伝子がいいか悪いかを決めるのは、やはり同じ方法で比較するのが一番だから、オスがメスに似ておなじ淘汰圧力にさらされるのはいい方法だと思う。 -こうしてオスが定着したものの、たとえばカマキリなどでは、交尾のあとにオスはメスに食べられてしまう。つまりメスのパシリでしかないのだ。しかもオスは小さい。運び屋に特化した形が残っているのだと思う。また別の動物では、オスはオス固有の役割を持っている。原始人だと、狩りをするとか。これはせっかく二種類の人間を産み分けることになったのだから、どうせなら適当に役割分担してそれぞれに特化したほうが効率がいいということなのだろう。 -そして脊椎動物では、どうやらメスは単独でクローンを生む能力を失っているものしかいないように思う。こうなるとメスの優位性はなくなっている。相互に相手がいないと生命としての機能が果たせない共生関係になったといえる。これはどうしてなのだろうか。自分のクローンを作る機能を省略した種だけがたまたま生き残っただけなのか。それともクローン方式では結局進化が遅いだけなので、半ば強制的に交配方式を選択させることで進化を速めたのか。 *** (3) 補足 -少子化で淘汰が完全に回避される場合に、僕は進化がなくなると書いた。しかしこれは遺伝子のコピーミスによる突然変異がなかった場合の話だ。実際はたまにコピーミスは起こる。しかもコピーミスはランダムに起こる過程で、進化に相当する歓迎すべき変化が起こる可能性よりも、退化や悪い因子に相当する歓迎しない変化が起きる可能性のほうが高い。だから淘汰圧力がなくなると、いい因子が増えるよりも悪い因子が増えるほうが速くて、結局種族全体の平均値は、横ばいどころか徐々に下がっていくのかもしれない。そうなると、外敵の存在を想定するまでもなく、長い目で見れば絶滅は免(まぬが)れない。 -[2008.11.15追記] 少子化でも滅亡を回避する簡単な方法があることを忘れていた。交配を、単なるランダムではなく意図的に制御すればいいのだ。両親からいいほうの遺伝子だけをもらうようにしたらいい。どちらがいいのか分からないことがあるだろうから、そういうときはランダムでいいけど、明らかに悪いと分かっている因子は避けるくらいのことは必要だ。 * こめんと欄 #comment
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