簡易複利計算

  • (by K, 2008.06.15)

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  • 複利計算って結構めんどくさい。でも貯金や借金をしたりすることは日常生活ではよくあることだ。
  • 借金は複利で利息がついてしまうから「借金だけはやめておけ」が両親の口癖です、みたいな話もあるだろう。そして一方で、テレビショッピングではこんなに高いものも分割払いだと月々○○円で買えます、みたいな話もある。そういうのを見ると分割払い(=これも複利)でもそんなに支払額が増えているわけじゃないからそれほど損には見えないし、それに分割払いでないとなかなか買えないものだってある。多くの人はそんな印象で複利を扱っていると思う。
  • しかしこんな程度でいいのだろうか。結局は複利計算がよく分からないから、どのくらいまでが得でどのくらいが損なのか分からないのではないか。

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  • どこまで本当なのか知らないんだけど、相対性理論のアインシュタインが「複利は、数学の歴史上で最大の発見である」と言ったらしい。そして「アインシュタインの72の法則」という近似式を提唱したらしい。・・・これ本当かなあ、別のアインシュタインさんだったりしないのかな。まあいいか。
  • この72の法則とか言うものは、法則が72個あるわけではなくて、たった一つの関係式に72という数字が出てくるだけの話。それはこんな式だ。
    複利によって2倍になるまでの時間(年数)=72÷利率
  • たとえば利率が3%だとしよう(最近の住宅ローン金利はだいたいこれくらいらしいので例としては悪くないかなと)。そうすると、72/3=24で、つまりもし24年後に一括で返すとすると借りた額の2倍を支払うことになる、ということだ。これは逆にも言えて年利3%の外貨預金とかファンドに投資したら、24年後には2倍になっている、ということでもある。
  • 2倍になるまでの期間が分かると、他のも分かる。4倍になるまでの時間は2倍の2倍なので24+24=48年だし、8倍なら2倍の2倍の2倍なので、24+24+24=72年だ。また、半分の12年ではsqrt(2)=1.414倍になる。1/4の6年なら1.189倍、1/8の3年なら1.090倍だ(まあこの例に限って言えば、この1.09倍というのは、3%の3倍でも出せるけど)。
  • ということで、この「2倍になるまでの時間」が分かれば後は適当に掛け算割り算でいろいろ出せる。これはなかなか便利だ。
    • 2倍になるまでの時間を「その時間」とする
      その時間の1/8で1.090倍+9.0%
      その時間の1/4で1.189倍+18.9%
      その時間の半分で1.414倍+41.4%
      その時間で2.000倍+100%
      その時間の2倍で4.000倍+300%
      その時間の4倍で16.00倍+1500%
  • もう一例くらいやってみようか。僕が高校生くらいのときに習った世界の人口増加率は、年1.7%だった。今はまた違った数字になっているかもしれないけど、まあそれほど違ってもいないだろう。72/1.7=42.3なので、42年くらいで世界人口は2倍になることになる。1.7%なんてたいしたことないと思うかもしれないし、実際1.7%を42倍にしても71.4にしかならないわけで、単利計算で近似して考えると42年くらいじゃ2倍にならないと思ってしまうかもしれない。
  • ちなみに日本の長期国債金利が今ちょうど1.7%くらいなので、日本政府が仮に今すぐプライマリバランスを達成してそれ以降ぎりぎり保ち続けても、42年で借金は2倍に、84年では4倍に、168年後には16倍に膨れ上がってしまうということでもある。

  • とまあここまで「アインシュタインの72の法則」の便利さを説明してきたわけだけど、これは所詮近似式でしかない。そもそも正確に計算しようとするならただの割り算くらいで出せるわけがないのだ。
  • 3%の場合をまじめに計算するなら、こうなる。
    1.03^x=2
    log(1.03)*x=log(2)
    x=log(2)/log(1.03)=23.44977
  • ということで、24よりは23.4のほうが正しい値である。でも手元に対数計算可能な計算機がない場合は、72の法則はかなりいい近似値として使えている。
  • 1.7%の場合をまじめに計算するならこうなる。
    x=log(2)/log(1.017)=41.11896
  • これも42よりは0.9ほど小さい値だ。どうも72の法則は正確な値よりも若干大きい見積もりをしがちなようだ。しかし先に示したとおり単利計算ではもっと見当はずれな値が出てしまうので、この近似はやっぱり有効だ。

(2)

  • さてこの便利な72の法則だけど、なんとアメリカでは高校生で普通に教わることらしい。なんだってー。僕はこんな式を学校で教わった記憶はないぞ。っていうか、理系文系に限らず、むしろlogとかはなんか難しくてよく分からない、でもいいから、この式くらいは覚えておいて損はないと僕は思うのだ。三角関数の加法定理とかよりも10倍は役立つぞ。logで厳密に答えを出すことだけが大事じゃないんだ。これだから日本の数学教育はダメだとかいわれるんだろうなあ。

(3)

  • さてさて、これで72の法則って便利だよね、って書くだけならあまり面白くない。そもそもなんでこんな割り算程度で結構いい近似になるのか、この72という数字は一体どこから出てきたのか、近似を改良したい場合はどういう補正をしたらいいのか、を考えてみようと思う。まあ実はすごく簡単だったりする。
    x=log(2)/log(1+r/100)
  • 結局はこの式に対して、r/100が十分に小さいとしてテイラー展開しているだけだ。ここでlogの底をeにとって、rの2次までで適当に計算するとこうなる。
    x=0.693147/(log(1)+r/100-r^2/20000)
    x=69.3147/(r*(1-r/200))=69.3147*(1+r/200)/r
    x=(69.3147+0.3465*r)/r
  • ということで、r=7.75くらいのときに、x=72/rという式になる。逆にr=2くらいのときはx=70/rで計算するくらいがちょうどいい。だから(1)では、まじめに計算した場合よりも多めに出てしまっていたのだ。
  • この式を導いたのがアインシュタインなのかどうかはしらないけど、そのときにどうして72を選んだのかは分からない。その頃は複利といえば7%前後がよく散見されたのか、それとも72だと約数が70よりも多いので、暗算に便利だと思ったのだろうか。

(4)

  • この72の法則は、預金の複利計算や政府の借金の見通し、そして世界人口の予測などではなるほど便利だが、住宅ローンや分割払いなどの計算には十分ではない。つまり、毎月少しずつ返していくから、それも含めて結局何倍を返すことになっているのか簡単に計算したいと思うのだ。
  • あまりいい式は出来なかった。まあ住宅ローンの場合は○万円を30年間払えとか事前に言われるだろうし、それだとそれを12倍して30倍すれば支払い総額は分かるわけだから、何倍払わされることになるのかもすぐに分かるのかな。だからまあいいかー。

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Last-modified: 2008-06-15 (日) 16:19:22 (5127d)