サンクトペテルブルクのパラドックス
Wikipediaによる説明
- みなさんはこの面白い問題を知っていますか?僕は最近知りました。
- もしWikipedaiの説明だけでだいたいわかるのなら、僕から追加で説明することは何もありません。
- ちなみにWikipediaの説明ではベルヌーイのアイデアである効用などの解説がありますが、以下の川合流の説明では別の方法でパラドックスの解決を試みます。
川合流の説明
- コインを使った賭けを考えます。コインを投げて表か裏かの当てっこをやります。もし当たったらゲーム続行でさらにもう一度やります。こうして、外れるまでやります。
- さてその結果によって、賞金が決まります。
- もしいきなり外れてしまって、一度も当てることができなかった場合は、残念賞として賞金2円をあげます。
- もし1度目は当たって、2度目で外れた場合は、賞金4円です。
- もし2度当たって、3度目で外れた場合は、賞金8円です。
- こうして、以下、倍々で賞金が増えます。そういうルールです。
- さて、もし僕が胴元だったら、このゲームの1プレイの料金を何円にすれば儲かるでしょうか? それが問題です。
- まず、こういう問題の時は期待値を計算します。・・・やってみましょう。
- おっと、無限大になってしまいました。つまりこのゲームは1プレイに100万円を取ったとしても採算は合わず、やがては破産する、と数学は言っているのです。・・・ほんとかなあ。
- これを一般化して計算すると、雑な近似としては、1ゲームあたりの期待値は「log2(ゲーム回数)」くらいになります。
- 期待値というのは、「もしそれをたくさんやったら、1回あたりでどのくらいを期待できるか」という数値です。たとえば宝くじの期待値だったら、それは「すべての宝くじを買い占めた場合」の賞金総額を購入した枚数で割ったものです。だからこのゲームの期待値は、このゲームをたくさんたくさんやったときの1回あたりの期待値なのです。そしてその値は、上記で見たようにゲーム回数を増やせば増やすほど上がっていく傾向があるので、「期待値は無限大」という答えは正しいのです。
- ここで現実問題を考えます。まあ実際問題として、1ゲームを1秒で終わらせるのはかなり難しいと僕は思います。となると1日でこのゲームができる回数は、せいぜい10万回程度でしょう。となれば、100年間このカジノを営業しても、せいぜい40億回くらいしかこのゲームはできません。この場合、1ゲームあたりの期待値がいくらになるかというと、せいぜい32円くらいです。ということで、もし1プレイに100万円を取っていれば、僕はまず破産することはないばかりか、大金持ちになれます。
- ということなので、僕が「みなさん期待値は無限大ですよ。それを思えば100万円なんて安いものですよ!」とカジノを始めても、かしこい皆さんは賭けに応じないほうがいいですよ。・・・というお話でしたー(笑)。
発展例
- 期待値の単純な考えでは、
- (a)ハズレは0円、1/2の確率で当たりになって賞金100円
- (b)ハズレは0円、1/200万の確率で当たりになって賞金1億円
- の2つのゲームは、同等であるということになります(どちらも期待値は50円)。でも僕の説明を読んだ後では、これは全然同じではないと分かってもらえると思います。(b)は期待値に到達するのが難しいのです。仮に1ゲームあたり40円として儲けの期待値を考えれば、どちらも差し引き+10円で同じくらい得なのですが、(a)は余裕を見ても20枚くらい買えば期待値通りの結果になるのに、(b)は200万枚かそれ以上に買わないと期待値通りにはならないのです。(a)なら800円くらいの資金があれば十分ですが、(b)だと8千万円くらいの資金が必要になるわけです。
- 同様に、たとえ300円の宝くじの期待値が400円だと言われても、その期待値に達するまでに買い占めなければいけない枚数が現実的じゃなかったら、その賭けには乗らないほうがいいと僕は思います。十分な枚数が買えないときの期待値なんて、もはや占いほどの価値もないのです。
- もしも一生に1度しかチャンスがないなら、期待値なんて考えてもしょうがないのです。期待値以外でやるべき理由を探しましょう。さもなくばやらないほうがいいです。
- 何度も何度もチャンスがありそうな状況でなら、期待値を論じることは意味があります。期待値を実現するにはどのくらいの試行回数が必要なのか、つまり成功確率の逆数はどのくらいなのか、よく吟味すべきです。
- 「サンクトペテルブルクのパラドックス」はこのことを教えてくれているような気がします。
こめんと欄
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