sin関数、cos関数の展開に関する研究

  • これは大学1年のときの研究です。
  • sinやcosといえばテーラー展開した公式が非常に有名ですが、別の方法で展開することもできます。
  • 僕が考えた方法で展開したsin・cosの展開式と、その係数比較に始まったある級数の和についての考察を、ここにメモしておきたいと思います。

アイデア

  • たとえばx=1, 2を解に持つような方程式は、一般にa(x-1)(x-2)=0の形に置いたりします。
  • sin(x)=0という方程式はx=0, pi, -pi, 2pi, -2pi, 3pi, -3pi,...を解に持ちますので、
    • sin(x) = ax(x-pi)(x+pi)(x-2pi)(x+2pi)(x-3pi)(x+3pi)...
  • とおけないだろうか、と考えるわけです。実はこの手法はうまくいきます。
    • 証明らしい証明はしていませんが、項をたくさんとってグラフを書くとsin(x)そっくりになります。ここではこれが正しいとして話を進めます。
  • ここで、x→0のとき、sin(x)→xになるということを使って、xの1次の係数を1に固定するようにしてみます。
    • sin(x) = x(1-x^2/pi^2)(1-x^2/4pi^2)(1-x^2/9pi^2)...
  • これだとaを含まないので扱いやすいでしょう。
  • 同様にcos(x)もこの方法で展開できます(グラフを描いて確かめた)。
    • cos(x) = (1-x^2/(pi/2)^2)(1-x^2/(3pi/2)^2)(1-x^2/(5pi/2)^2)...

テーラー展開との係数比較(1)

  • テーラー展開による有名な公式として、次の2式があります。
    • sin(x) = x - x^3/3! + x^5/5! - x^7/7! + x^9/9! - ...
    • cos(x) = 1 - x^2/2! + x^4/4! - x^6/6! + x^8/8! - ...
  • 僕の提案したsin(x)の展開式も、式を展開すれば、xの3次の項、5次の項、7次の項、...の係数は同じになっているはずです。
  • ということで、x^3の係数を比べてみましょう。
    • - 1/pi^2 - 1/4pi^2 - 1/9pi^2 - 1/16pi^2 - ... = -1/3!
  • これを整理して(両辺に-pi^2を乗じる)、
    • 1 + 1/2^2 + 1/3^2 + 1/4^2 + 1/5^2 + ... = pi^2/3!
  • という式が得られます。
  • つまり自然数の逆数の自乗の無限級数の和は、円周率の自乗を6で割ったものに等しいというわけです。これもパソコンでかなりの項数までとって計算してみて確認しました。きっとあっていると思います。
  • さて係数比較をこれだけでやめる理由はありません。もっとやります。

テーラー展開との係数比較(2)

  • sin(x)のx^5の係数比較をすると、
    • {(1/pi^2)(1/4pi^2 + 1/9pi^2 + 1/16pi^2 + ...) + (1/4pi^2)(1/pi^2 + 1/9pi^2 + 1/16pi^2 + ...) + (1/9pi^2)(1/pi^2 + 1/4pi^2 + 1/16pi^2 + ...) + ...}/2 = 1/5!
  • が得られます。これを整理すると、
    • (1/1^2)(1/2^2 + 1/3^2 + 1/4^2 + ...) + (1/2^2)(1/1^2 + 1/3^2 + 1/4^2 + ...) + (1/3^2)(1/1^2 + 1/2^2 + 1/4^2 + ...) + ... = 2pi^4/5!
    • (1/1^2)(pi^2/3! - 1/1^2) + (1/2^2)(pi^2/3! - 1/2^2) + (1/3^2)(pi^2/3! - 1/3^2) + ... = 2pi^4/5!
    • (1/1^2 + 1/2^2 + 1/3^2 + 1/4^2 + ...)(pi^2/3!) - 1/1^4 - 1/2^4 - 1/3^4 - 1/4^4 - ... = 2pi^4/5!
    • 1/1^4 + 1/2^4 + 1/3^4 + 1/4^4 + ... = (pi^2/3!)^2 - 2pi^4/5!
    • 1/1^4 + 1/2^4 + 1/3^4 + 1/4^4 + ... = (1/36 - 1/60)pi^4 = (1/90)pi^4
  • となります。
  • このほかにも、x^7、x^9の係数を比較していくと、1/n^6、1/n^8の級数の和が求められます。そしてそれは「有理数*pi^6」、「有理数*pi^8」の形になります。詳細は面倒なので省略します。

テーラー展開との係数比較(3)

  • 今度はcosです。
  • 以下ではPというのをpi/2の意味で使います。
  • x^2の項で比較すると、
    • 1/P^2 + 1/(3P)^2 + 1/(5P)^2 + 1/(7P)^2 + ... = 1/2!
    • 1 + 1/3^2 + 1/5^2 + 1/7^2 + ... = P^2/2! = pi^2/8
  • となります。これは奇数の自然数の逆数の自乗の和です。
  • またx^4、x^6の項を比較すれば、1/(2n-1)^4、1/(2n-1)^6の級数の和が求められます。そしてそれは「有理数*pi^4」、「有理数*pi^6」の形になります。詳細は面倒なので省略します。

まとめと考察(1)

  • 一般的にsin(x)の展開式から、1/n^6、1/n^8のような任意の偶数乗の級数の和が求められます。そしてそれは「有理数*pi^6」のような形になります。ここでpiの乗数は和の乗数に一致します。
  • 同様にcos(x)の展開式からは、1/(2n-1)^6、1/(2n-1)^8のような任意の偶数乗の級数の和が求められます。そしてそれは「有理数*pi^6」のような形になります。ここでpiの乗数は和の乗数に一致します。
  • ここで説明の便宜上、1/1^2 + 1/2^2 + 1/3^2 + 1/4^2 + ... をS(2)、1/1^4 + 1/2^4 + 1/3^4 + 1/4^4 + ... をS(4)、以下同様にS(6)、S(8)、...を定義します。また、T(2)はsum[1/(2n-1)^2]、T(4)はsum[1/(2n-1)^4]、T(6)はsum[1/(2n-1)^6]を意味するものとします。記号sumは無限級数の和です。
  • S(2)とT(2)には以下の関係があります。
    • S(2) = (1/2^2)S(2) + T(2)
  • なぜなら、S(2)には自然数の逆数がすべて含まれていて、(1/2^2)S(2)には偶数の逆数がすべて含まれているからです。これを一般的にすれば、
    • (1 - 1/2^n)S(n) = T(n)
  • となります。これにより、T(n)の値から簡単にS(n)が求められます。

まとめと考察(2)

  • arctan(x)のテーラー展開でx=1としたとき、
    • 1 - 1/3 + 1/5 - 1/7 + 1/9 - ... = pi/4
  • となるのは有名です。これと今までの結果をふまえて、
    • sum[1/{(-1)^k*(2k+1)}^n]の値は(sumはk=0からkのみに渡ってとる)、有理数*pi^nになるのではないか
  • という仮説を立ててみたくなります。ここまでではnが1,2,4,6,8,...と、nが1かもしくは偶数の場合にしか確認されていませんが、これがnが任意の自然数についても成り立つと考えてみたいわけです。
  • そしてこれもとりあえずうまくいくように思います。どうやって確かめるのかというと、実際にかなりの項までの和を作り、pi^nで割ってみます。そうすると、循環小数になっています。
  • 説明の便宜のために、T(n) = sum[1/{(-1)^k*(2k+1)}^n]と拡張定義します。
  • そうすると、T(n)は次の形で表せます。
    • T(n) = b(n) / (2*(n-1)!) * P^n
  • ここでb(n)は自然数の数列で、{ 1, 1, 1, 2, 5, 16, 61, 272, 1385, 7936,... }です。
  • Pの中にpiが含まれていますので、先の仮説は正しそうです。すくなくともnが100くらいまでは。
  • またこのb(n)については、漸化式もみつけています。だから、いちいち和をとらなくても、簡単にT(n)の値が出せるわけです。
  • (まだ続く。)

こめんと欄

  • 既出かも知れませんが、40byte sin generator http://www.kt.rim.or.jp/~hisashim/demo/pcdemos.faq-j.html#10.8 -- .mjt 2004-03-16 (火) 21:56:35
  • S(n)、ゼータ関数、S(2)初出は、オイラー1735年だそうで。Kタンすげー。 -- くーみん 2004-03-17 (水) 23:42:52
  • さすがオイラーだ・・・。1735年にはとっくにわかっていたのね・・・。くーみんさん、教えてくれてありがとう。ゼータ関数は奥が深くて面白そうです。 -- K 2004-03-19 (金) 23:05:10
  • 一人でオイラーと同じことしてるのは、すごいでつ。オイラーがどうやって求めたかはよく知らないんですが、ゼータ関数調べてみると、なんかあるかもしれない。1735年というのは、Wikipediaを読んでいて見つけたことです。他にも参考になる記事があるかも。 -- くーみん 2004-03-22 (月) 15:23:45
  • 今日、横浜地下街の有隣堂で立ち読みしていたんですが、時評論社の「はじめよう数学」シリーズで、上野健爾氏の書いている本(πとか、複素数とかに関する数冊)でオイラーの話とか、Kタンのsin xの独自展開(オイラーはこれやってたみたいですね)の事とか書いてありました。お暇なとき参考になれば。 -- くーみん 2004-04-05 (月) 23:27:06
  • またまた情報提供ありがとう。 -- K 2004-04-06 (火) 12:24:18
  • いまさら気付いたんだけど、1/n^4の級数の和はpi^4/90です。「sin(x)のx^5の係数比較をすると」の次の行の左辺全体に1/2をかけないと…同じ項を二回計算してますね。あと、「の値は(sumはk=0からkのみに渡ってとる)」は、「極限の値は…」ということですね。 -- くーみん 2004-06-09 (水) 21:28:28
  • まったくもってそのとおりです。確認して訂正しました。ここで使っているsumは無限級数の和という意味で使っていますが、無限級数は項数が無限大に近づくときの極限値、という意味です。ということで、ご明察です。ご指摘ありがとうございました。 -- K 2004-09-16 (木) 03:03:36

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Last-modified: 2007-05-15 (火) 02:11:39 (5574d)