評価額のワナ
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- たとえば株式にしよう。自分が1000円の株を1000株もっているとき、この株券全体の価値は100万円だと誰しも思う。それはつまりこの株券を市場で売れば100万円で裁けると思っているからだ。
- しかし株価なんていうものは、そんなことを全く保証できない。株価が1000円だというとき、それは最後に成立した取引が1000円だったというだけだ。つまり1000円以下なら買ってもいいという人と1000円以上でなら売ってもいいという人が「たまたまいて」、それで売買が成立したというだけのこと。明日も同じことが起こるという保証は全くない。
- これよりマシな株価の表示方法として、気配値なるものもあるらしい。つまり、995円以下なら買ってもいいと意思表示している人がいて、1002円以上なら売ってもいいと意思表示している人もいる(これは意思表示をやめる前に対応する注文が来たら他の人よりも先に取引できるが、それを断ることはできない)。こういう気配値が出ていればいくらで売れるか明確だ。でも、これもその瞬間の気配値であって、明日までその値段で売れるという保証にはならない。それに気配値は、その値段で何株まで買い取ってくれるのか分からない。もしかしたら1株しか買ってくれないかもしれない。そうなれば、残りの999株はもっと安い値段で売らされる羽目になる。適当な値段での買い手が見つからない場合、とにかく現金化したい売りたいんだということになれば、買い手が出てきてくれるまでどこまでも値を下げて買い手を募集するしかない。これは売り気配値がどんどん下がることを意味する。もし900円まで買ってくれる人がいなければ、結局90.1万円でこの1000株を売ったことになる、直前の買い気配値が1000円だったにもかかわらず。
- こんな気配値じゃ分からない、どの気配値にどのくらいの株数の注文があるかを見たいという場合は、そういう表があるらしい。これは「板」と呼ばれるそうだ。これを見ればその瞬間に無理に売ったときの値段が分かる。逆にとにかく1000株買うんだ、ってときにいくら必要かも分かる。
- これは他のものでも同様に行われているようで、たとえば先物取引も全く同じ仕組みだ。
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